黒洞々 アラン様

【タイトル】 黒洞々

【作者】 アラン

【ジャンル】 現代ドラマ

【執筆状況】 完結

【形式】 短編

https://kakuyomu.jp/works/16817330667030342814


 カクヨムではあまり見かけない純文学作品です。一話、一話は短めで前半はモノローグ、後半は一人称視点という構成になっております。ほんとうに一話、一話は短いのですがその一話が濃密。日本語って短い文章にこれだけの意味を詰め込められるんだなと改めて感じさせてくれる作品です。


 私も頭の中で延々と考えてしまうタイプの人なので、他人から見ればそこまで考えなくていいことを延々と考えすぎてしまう気持ちは分かります。自分が思い悩む事が人にとってはそれほど大きな出来事ではなかったということもよくあることなのですが、それが分かっていても思い悩んでしまうのは止められないという堂々巡り。

 そういう主人公の思い詰めるあまりの重苦しさが文体にまで現れて、読んでいて情報量の多さに目が回りそうになったのですが、最後はあっさり風味。そのあっさりさが良い味を出しているなと。


 他人は自分が考えるほど物事を深く考えていないというのが文体の変化一つで表現されていて、独白を続けていた主人公のなんとも言えない気持ちまで伝わってくるようです。自分が思い悩んでいたことをあまりにもあっさりした反応で返されると安心するような、気が抜けるような、もっと思い悩んでほしいような、なんか複雑な気持ちになります。

 文体のギャップや文章の質量を感じてみたい方、一万字に収まる短編作品ですので読んでみてはいかがでしょうか。

 企画に参加いただきありがとうございます。

 

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