Episode 15 - 威療士チーム、〈スターダスト・ピザ〉

「――エドゥとティファは、負傷者の捜索をお願いします。マイク、サマンサ。二人に続いて僕と降下、涙幽者の救命活動をおこないます。デレクは僕の傍を離れずによく見ておいてください。ブランドン、周囲のスキャンを続けてください。何かあればすぐ報告を」

「ラジャー、“ソース・ボス”。行くわよ、“ベジー”」

「だ、だから、ボクは野菜がに、苦手なんだってばぁ!」

 ライムイエローのツインテールをなびかせたティファニーが、半ば引きずるようにフレッシュグリーンのパンチパーマ――エドゥアルドと船の後部ハッチから飛び降りていく。エドゥアルドが半泣きなのはいつものことで、これが二人のお決まりのやり取りだ。ひ弱そうに見えて、ティファニーと組んだエドゥアルドは、現場でこそ実力を発揮する。

「いいんすか、リーダー。さきスニヴェラーぶっ潰さないで」

「デレク、その呼び方はいけませんと言ったはずですよ。彼らは好き好んで泣いているわけではありませんから」

「そうっすかね。エモくてギャン泣きしてるって、スクールで言ってったすけど」

「オラ、新人。ペチャクチャしゃべってねぇで支度しな。モノホンを見りゃあ、わかんだろよ」

「いいなあ、ボスの傍付き。アタシなら萌えちゃうわ。ねぇ、代わってよ、ルーキーくん」

「……あのですね、サマンサ。デレクは実習に来ているんですよ? それに、これが初のパトロール中の出動なんですから、しっかり経験を積んでもわないと」

『ソース・ボスを困らせないでほしいなあ、サマンサちゃん。何なら、オレとランデブーしちゃう感じでどうだい?』

「ボス~、うちのパイロットが問題発言してるんですけどー」

「ですからそれは……」

「なあ、アシュリーも照れないではっきり言ってやればいいじゃんか。背中を預けられるのは、サマンサだけだ、ってな」

「えっ、マジマジ??」

 既に降下準備を終えたマイクが、サマンサに見えない角度でウインクを飛ばしてくる。そうして力強く肩を叩いてくると、駆け足で後部ハッチに吸いこまれていった。

(アシスト感謝です、マイク)

“ソース・ボス”――威療士チーム〈スターダスト・ピザ〉リーダー、アシュリー・キムは、そう心の中で長年の相棒に礼を言うと、自身もコンソールのダイヤルに手を掛けた。

「ええ、当然です。僕たちは、チームメイトであり、苦楽をともにしてきた家族です。いつだって頼りにしていますよ」

「なんかー、はぐらかされてる気がするんですけどー? どう、ルーキーくん」

「いや……オレ、実習生なんで、そういうのはわかんねえっす」

「では、実習生デレク。チーム〈スターダスト・ピザ〉の救命活動をしっかり、その目に焼き付けてください」

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