落ちこぼれ料理人の俺が不良女子高生の胃袋をゲッチュする話

@shirano

プロローグ

第1話 ニラと水仙は間違うな①

『落ちこぼれ料理人の俺が不良女子高生の胃袋をゲッチュする話』


誠にくだらん。

くだらん題名だ。

昨今の若者はこんな題名の小説を読むのかね?

いや、読んではいないのか、レビューもほぼない。

ただ、サイトのどの小説も似たような題名が多い。

金をケチって小説を読もうとしたらこれだ。

かえって気分が害される。

四島とか、山端とか、文豪を読め文豪を。

まぁ、22にもなって純文学を読みふけるのもそれはそれで恥ずかしい行為のような気もするが、、、。


まぁ、とにかく、このサイトで小説を読むのはやめよう。


高良京香たからきょうかは、己の無精ひげを指で弄りながらため息をつく。

すると、カウンターの向こうから、


「どうしたんだい?何か悩みごとでもあったかい?」


柔らかな声が届く。

恰幅のいい初老の男がにこやかに奥のキッチンから出てきた。


「カポ、俺がこの世で嫌いなものは2つあるんだ。伏線ばかりの物語と、女がかわいいだけの物語だ」

「伏線というのはよく分からないが、女性の魅力というのは偉大だよ、キョーカ」

「女なんてクソだ」

「そうだろうか。多くの男性料理人は、好きな女性においしいものを食べて欲しくて腕を上げるのではないかね?」


京香は舌打ちを1つ、


「、、、俺は料理人じゃねぇ」


マウリツィオ・コレッリ、このイタリア料理店『Taverna Davvero』の料理長カポクオーコは、京香の悪態になぜか満足げに笑って、タバコを買いに行ってくると外に出た。


「料理人っぽいこと言うならタバコ吸うんじゃねぇよ」


その声は体重100キロはゆうに超える料理長の背に届かなかったのか、もうその姿は見えなかった。

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