それは深夜の公園で

今晩は

今日も街灯という名の

月が出ています


自転車のカギを、また失くした

だから、歩く

だから、歩く


自転車のカギを、また失くした

だから、普段よらない公園に

足を留め 柵へ座る


柵はなんのため


柵は、仕切りのため

柵は、入り口をつくるため

柵は、角をつくるため

柵は、座るため


子供のころ

柵の上でぼくたちは

何を描いたのか


赤と青のブランコが揺れる


小さかったのだ

それは、小さかったのだ


自転車のカギを失くした

だから歩く


そこに


開く扉がきっとある

手を伸ばすかどうかは

気づくかどうかだけのことで


いえ、それは

大げさなことなのではなくて

すべての人にあり

きっとみんなが気づいている


しかし、だがしかし

運命の岐路は、こわいのだ


月が覗く

そこに月はある

星はある


見えていても見えていなくとも


光はある

その光にたとえ背をそむけても

背中が照らされているのであれば

つかみたいという想いがあるなら


重みに負けるな

きっとつかめる


おやすみなさい

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