街ライトムーン

外套を着込み外へ出る

誰もいない公園で

閉め損ねた蛇口から

ぽちゃんと一滴水滴が垂れる

その音に揺れたわけは

無きにしも関わらず

空を覆う桜は揺れ

自転車を留める


降り注げ 振り仰げ

どちらが天か どちらが地か

降り注げ 白き光とともに


揺れよ 淀めけ

しなる弓は たおやかに


肩肘張らず

咲かせる白き蕾は

その瞳に朱に映り

瞬きする間に散りばめて


紅き華は真ん中に

何筋もの粉をしたためて

いつそれを撒き散らすのか


奪いにくるは

蜂か蝶か

風か雨か

はたまた雀であろうとも


個はなく 個はあり

来年も必ず咲くのであった

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