第60話 東京佐側急便事件
大輔です、突然ですが『公民党事件』後にこう呼ばれる政治事件があったのをご存知でしょうか?
今を遡る事1987年、自民党次期総裁(次期総理)最有力候補の竹上哲は、高松市に本部を置く右翼団体日本公民党による執拗なほめ殺し攻撃を受けていた。
これは、恩義のある田中角瑛を、竹上が裏切ったことが原因であったとされる。
竹上はこれに対処するため、腹心の金角仁に相談、金角は東京佐側急便の渡辺始社長(当時)に、暴力団稲山会会長石田健明との仲介を依頼。
その際、東京都内のホテルで竹上、金角、渡辺、と風間信康が善後策を協議したとされる。
その結果、竹上は田中邸を訪れ謝罪することになる、この訪問は門前払いとなった訳だが、事件自体は沈静化する事になった。
また東京の高級料亭で金角が石田に面会した際
「私が彼(石田)と会ったのは感謝の気持ちからです。もちろん、よくないとはわかっていましたが、ともかくそうしたのです」と言ったという。
事件の数週間後の1987年11月、竹上哲は総理に就任。
この成功により、渡辺は政界に強いコネクションができた事を大いに喜んだと言われる。
その後東京佐側急便は、石田が経営権を保有していた岩間カントリークラブをはじめ、石田と関係のある会社に対して、次々と融資や巨額の債務保証を行う様になった。
その総額は約4,395億円に上り、40の企業(うち稲上会のフロント企業は6社、総額1,000億円)と1個人(石田本人)に及んだ。
一部ウィキべティアより抜粋
さて長々とこの公民党事件について説明した訳ですが、今何故この事件の説明をしたのかと言うと……
「渡辺さん、東京佐側急便の放漫経営に端を発する巨額負債問題に関して一部政界との癒着に関する疑惑が持ち上がっております、貴方が関わったとされてますが?」
「渡辺さん、コメントをお願いします!」
「ノーコメントだ!」
「渡辺さん!」 「始氏!」 「渡辺さん!」
TVを消した美和子さんが
「康二さんが正月から忙しく動いてたのはこれね」
「まさか康二兄が報道に移動してたなんてな〜」
ネクスト会議室において皆と共にTVを見ていた俺達はこの事件に関してブリーフィングを行っている。
「結果的にバブル崩壊が原因という事かしら?」
美香子さんが東京佐側急便の放漫経営に対し意見を述べる
「そうだね今まで野放図に投資や貸付をおこなっていった所は今後苦しくなると思う、所謂不良債権化って奴さ」
日本の30年に渡る不景気の遠因になるのがこれだ
「はあ、まだまだ世の中の人は一時的な不況でいずれ好景気に戻ると考えてるんですよね〜」
奈々さんが世の中の楽観的な雰囲気にため息を吐く
「そうね、景気の谷の底位に感じてるんでしょうね、まさかまだ転がり始めたばかりだなんて……」
優子さんも不安気な様子を隠さない
「大輔、経済動向の予測からこれが氷山の一角なのはわかる、だが本当に日本経済に復活の余地は無いのか?」
悠子さんから念の為日本の景気が復活する余地がないか確認されるも
「日本自身の問題だけじゃ無いんだ、米との経済競争に負けた事も原因の一つ何だ、今更米が引く訳が無い」
全員が今後の日本経済の状況に暗澹たる気分になる
「もし俺達にできる事があるとするなら、これ以上傷を広げないよう日本の本当の状況をネクストとして訴え続ける位だよ」
「任せといて、業務の一貫として正確な経済状況を顧客に伝えるのは私達の業務よ!」
美和子さんの激励にようやく皆が明るくなる、そうこれ以上傷を広げないように出来ればまだ日本経済が復帰するチャンスも出てくるさ、皆がやる気を出した所でお暇するかと帰り支度していると
「代表、お姉さんからお電話が来ております」
えっ泰子さんから電話って珍しいな
「はい美和子です、って姉さんどうしたの?」
この電話が新たなる騒動の幕開けになるとは想定してなかったよ
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