第47話 第52回 菊花賞当日

 1991年11月3日


『現在、私は京都競馬場上空からヘリに乗ってお送りしておりますご覧下さい、人、人、人の波となっております、本日こちらでは三冠レース最後の一冠、菊花賞という事で沢山の方々が詰めかけております、こちらからは以上です』



 おうおう、マスコミもヘリまで担ぎだして盛り上がってるな〜


 史実ではオグリギャップが引退して徐々に競馬ブームは萎んでいく筈だったのだが、新たなるスター、カザマテイオーの存在によって競馬ブームは今年も健在である


 まあ俺が煽り散らかした所為でもあるのだが、史実を超える人気者になったテイオーは今やあの時のオグリと並ぶ人気を得ているのだ


 その結果、今年の菊花賞はおそらく史上最大の入場者数になるのではと予想されていたが予想を超える人の波だ



 先に馬主席に着いたのだがダービーの時もそうだったように、各界の著名人や大物馬主の方がチラホラと見受けられる、ただその全員がこちらを気にして見ている


 まあ今年の主役でありルドルフ以来となる3冠馬しかも無敗で更にそのルドルフと親子でのという色々と記録尽くめの馬のオーナーなのだ気になるよな〜、そんな中


「よお小僧、宣言通りよくぞここまで、孫の最高の舞台だ期待しとるぞ!」


「外村さんか、いやテイオーは期待はしてくれて良いけど、それでも俺がこの雰囲気は慣れないな」


「何言っとるダービーの時も言ったが、オーナーとして周りと顔を繋ぐのも義務だぞ、ほらこっち来い、紹介するぞ」


 ダービーの時もそうだったように外村さんに連れられ挨拶回りを行なっていく、まあ昔取った杵柄ではないが営業スキルを活かし顔を繋ぐのであった。



「あ、兄貴、凄かったぞ、テイオーの応援幕が大量だった」


 おっ小次郎が戻ってきたな


「皆、思い思いの応援幕で楽しかったですね〜」


 真理子さんも戻ってきたな


「でもどう考えても今回は僕らの勝ちだね、最高に目立ってたよ」

「今回は過去最大の予算もかけましたしね!」


 おいおい、やめろよ不安を招く発言は電飾でも飾ったんじゃないかと心配になるわ


 昼食を終え、更に挨拶回りをして時間が過ぎていく、さあそろそろパドックの時間だ



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「見てくれ兄貴、あれだよ!」


 そこには金ラメの下地に赤文字で『菊花賞 待ってたぜ!この時をよう カザマテイオー』


 いや、これもう完全に特◯の鷹ですやん! 隠せてね〜よ、大丈夫なの?


「大丈夫です、提示OK貰えましたので」


 本当かよ? 今度こそハードラックとダンスっちまうんじゃないのか俺が!


 そんな中始まる菊花賞のパドック、だがカザマテイオーの馬体重-10kgの情報に場内がざわつき始めるのだった

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