第二部 第6章 伝説を超えろ

第45話 秋初戦、カザマテイオーに死角無し?

『第四コーナーを周り早くも先頭に立ったカザマテイオー、後続をグングンと突き放す、カザマテイオー先頭、カザマテイオー先頭、これは大楽勝だカザマテイオー持ったまま今1着でゴールイン、三冠レース最後の菊花賞に向けカザマテイオーに死角なし!』


「うし!」


「やった〜」


「やりましたね!」


 秋初戦となった神戸新聞杯は圧倒的な強さでカザマテイオーが制した、菊花賞に向けての叩き台のこのレース負ける訳にはいかないと思ったが、想像以上の強い勝ち方でカザマテイオーが勝った


 口取り式にて


「いや想像以上に強い勝ち方でした、大谷さん有り難うございます」


「いえいえ夏場を越し想像以上に成長してましたよテイオーは」


「日原さんも有り難うございます」


「いや乗ってて思いましたよ、今日のテイオーの出来で負けたら100%自分の所為だって」


「今日は本当に良かった、でも問題は……」


「はい、菊花賞ですね?」


 そうなのだ、テイオーは間違いなく世代最強馬だそこに問題はない、ただ本質的にテイオーは中距離馬なのだ、菊花賞の3000mは正直向いてない


「正直言って日原さんの腕におんぶに抱っこって気がします、日原さん持ちますかテイオーは?」


「持ちます、いや持たせてみせますよ、テイオーならやり方次第で長距離もこなせます、お任せ下さい」


「すいません、テイオーをよろしくお願いします」


 俺達は挨拶を交わし口取り式へ、今日の口取り式のメインは外村さんにお願いした、外村さんは物凄い嬉しそうでした


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 翌日の朝スポーツ誌では、もう三冠は確定したかの如く騒ぐマスコミに不安が隠せなかった、朝食をとりながら


「人の気も知らないで、まるで三冠が決まったみたいに言いやがって」


「何だよ兄貴、まるでテイオーが負けるみたいな言い方じゃないか?」


「負けるとは言わないさ、でも楽勝だなんて思ってはいない」


「どういう事だよ兄貴?」


 俺は距離の壁の事を小次郎に説明する


「そ、そんな? じゃあテイオーは勝てないって言うの?」


「そんな事はないさ、ただ楽勝って訳には行かないって事、安心しろチームテイオー一丸となってあらゆるプランを考え菊花賞は勝ってみせるとも!」


 不安気な小次郎を励ましつつ俺は来たる菊花賞に向けて考えを巡らす



翌日


「これはオーナー、一体どうしました?」


 俺は大谷厩舎に連絡を入れた


「すいません大谷さんへ相談したいと思い連絡させて頂きました、テイオーの事なんですが?」


 菊花賞へ向けてとある秘策を考えたので実現可能か聞いてみる事にしたのだ


「それは本気ですか? オーナー?」


「はい、大谷さんがやれるというならお願いします」


「出来るか出来ないかで言えば出来ます、ですが賭けになりますよ?」


「わかってます、でもテイオーなら乗り越えてくれると信じてます」


「わかりました、やりましょう!」


 こうして本番である菊花賞まで俺達は手を尽くす

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