第22話 夏の余韻②
現在、我が家には由佳さんとお相手の人物が正座で美和子さんの前に座っています。
「で、どういうことかしら?」
「違うんだ、姉貴!」
「由佳、貴女は黙ってなさい!」
はい目的の人物、まあ皆わかってるだろうが康二兄が、滅多に見ない美和子さんの怒りに対して青い顔ながら説明する
「すいません、美和子さん、言い訳は致しません、由佳さんを僕に下さい」
康二兄が美和子さんへ土下座して謝りつつも由佳さんを下さいと真正面から懇願する
「ふ〜、わかったからどういう事でそうなったのか説明して頂戴」
美和子さんが怒るのは当たり前である、ねるとんで美和子さんに振られたばかりだもの
「あ、貴女に振られた後、自暴自棄気味に生活していた時に由佳に飲みに連れて行って励まし続けて貰って、そ、その」
「待った、それ以降の説明は私がする、飲みに連れ回している内に落ち込んでる康二を励ます為に、私の意思で抱かれたんだ!」
「ぶーーー!」
俺は飲んでたお茶を吹き出す!
おい子供が聞いてるんやぞ、もう少しオブラートに包んでだな
「由佳!」 バッチーン!?
うわ〜、美和子さんのビンタ初めて見た、由佳さんが反論しようとするのを康二兄が遮る
「美和子さん、見損なわないでくれ、いくら飲んでるとは言え自分の意思じゃなきゃ誰かを抱いたりしない!」
美和子さんがキッ! と康二さんを睨みつけるが康二兄は今度は怯まず
「俺は貴女に振られて本当に絶望し一時は飲んだくれていたのは事実です、でもそんな俺に無償の愛を由佳が捧げてくれた、その事でどんどん彼女が愛おしくなって、今でも貴女に惹かれているのは事実ですが、そんな貴女より今は由佳の方が遥かに大事なんです、どうか認めて下さい、お願いします!」
康二兄が土下座すると、隣で由佳さんも土下座をする、数刻後
「ふ〜、まったく由佳と貴方がね〜」
まったく俺もビックリだよ、康二兄がガチの美和子さん命なのを知ってるだけに、いくら振られたとはいえ、すぐ由佳さんに惹かれるなんてな〜
「正直私が1番驚いてるくらいです、貴女以外の人を好きになるなんて、でも由佳は本当に親身になって私を支えてくれた、彼女の優しさに触れる内にどんどん惹かれていって、今は由佳が1番愛おしい」
隣の由佳さんは真っ赤になりながら涙が止まらない模様、ちぇっ、お熱いこって
「わかりました、由佳が引かない事なんてわかりきってます、あの子が貴方を好きな以上どうする事もできないんですから」
美和子さんも苦笑するしかない
「由佳、私は納得したけど、ちゃんと本家へ顔を出して説明してきなさい、大変でしょうけど」
「わかってるよ姉貴、この後康二連れて本家へ説明してくる」
本家か〜、大変だろうな〜、泰子さん説得できる気がしないんですけど
こうして由佳さんの恋愛騒動は一時的に解決したのである、まあこの後大騒動に発展するとはこの時想像もしてなかったよ。
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