第二部 第1章 新生活のスタートですよ!
第1話 あれから1年、新生活のスタートです
拝啓 桜花の候、皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか
あれから一年が経ち、1990年も4月を迎え高校二年生となりました、お久しぶりです大輔です
新たに新学期を迎え学校では新入生が産声をあげる季節なのですが……
「きゃ〜〜、早苗先輩と健太先輩の2人よ〜!」
「2年生で男子と女子の剣道部の部長を任されたって話は本当なの?」
「それぞれ三年の先輩からお願いされて二年生の段階で部長になったそうよ!」
「それはそうよ、何てったって2人共一年で全国ベスト8でしょ、凄いわよね〜、本当ベストカップルって感じ」
おのれ岡崎馬鹿ップルめ、巷の人気を独占しおってからに、本来であれば俺こそが人気を独り占めにして新入生の女の子達からキャーキャー言われる予定だった筈なのだ、プンプンしながら廊下を歩いてると前から
「よっ、大輔!」
前から裏切り者の奴の姿が
「チッ! 誠司か」
「何だよ、舌打ちとか穏やかじゃないですね〜」
「山名君、そんな事より早く来週の新作を考えてないと」
「そうですよ先輩、発表会で新作のお菓子発表して新入生を更に増やさないと」
そんな事扱いかよ、くっ、誠司の奴、奴は一年の時入部した料理研で部長に実力を認められて気に入られ、2年にて副部長に就任、現在は料理研にてモテモテ生活を過ごしていやがるのだ、これが許せるだろうか? いや天が許しても俺が許さん!
「誠司君!」 「誠司先輩!」
「あ〜悪い大輔、それじゃそういう事で」
「ぐぬぬぬ!」
おのれ誠司め後で折檻じゃ、この怒りどうやって収めるべきか、仕方ないやる事もなし不貞寝じゃ不貞寝、そうして授業をボイコットした俺は図書室にて不貞寝を決める事にした
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
あれから昼休みまでむしゃくしゃしつつ、俺は読みもしない恋愛小説を顔に被せ、背もたれに荷重をかけ椅子を二本足の状態でバランスをとりながら足をだらしなく机に乗せた状態で惰眠を貪っていた
「もしもし、図書室でその体勢はどうなのよ?」
何やら誰かさんに惰眠を止められたようだ
「春眠暁を覚えず、俺は春の惰眠を楽しんでるので邪魔をしないように」
「あら、それは誤用よ、本来の意味は春はぐっすり眠れるものだから、夜が明けたのに気づかず寝過ごしてしまうってのが正しい訳よ、勉強不足ね風間大輔君!」
「やれやれ、中々手厳しいなぁ、君は誰だい?」
「顔に本を載せた状態でそのセリフはいかがなものかしら?」
俺は今更ながらその事に気づき、本を机の上に載せて椅子を戻しその子の顔をようやく見つめる事にした
「初めまして風間大輔君、私は桐谷花蓮よ、有名人さん」
「有名人は俺の知り合い連中だな、俺はいたって不真面目な一般ピープルだからな」
「あら私が調べた情報とはだいぶ違う話ね、去年の『新世代の乱』の中心人物は貴方でしょ、風間大輔君?」
これが俺とビブリオフィル桐谷花蓮との初対面であった
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