第四十六話 緊急事態!
「話が違〜〜う!」
現在早苗が喚いていますが、暦も5月になり草木もようやく緑迎える頃となりました、大輔です
「ちょっと聞いてるの? 藤林道場に入門したのにやってる事は体力作りの為のランニングとトランプで神経衰弱とかばかりよ!」
「俺もまだ両方共続けてるぞ?」
健太が答えるも
「なんの為にやらされてるのがわからないから辛いんじゃない、組み手も何もないのよ?」
「うちの師匠の口癖だけど、逃げ足の遅い奴と記憶力のない阿呆にはウチの武術は向かん!らしいよ」
「それは判ったけど、もっとこう武術的な教えが〜」
「それにこの訓練も、」
ちょっと健太に釘刺しとくとしよう
「健太、武術は素人だけど1から10まで教えるのは駄目だぞ、本人の成長を阻害しかねん行為だ、本人が考える事で身につく物もあるだろ?」
健太自身も何か感じたのか、口を閉ざした
「なによ〜、少しくらい教えてくれたっていいじゃない、ケチ〜!」
しかし変われば変わるもんだ、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花って感じだったのに、今じゃ単なる駄々っ子にしか見えん
まあそれだけ素の姿を見せてくれるようになったって事か
「ははは、相変わらず仲良いよね、3人共」
「なんだ、誠司もいつでも仲に入ってきて絡んでもいいんだぞ?」
「そうだね、もう少し余裕が出来たらそうさせて貰うよ」
そういう誠司君の顔色が余りよくないのに気付いた
「顔色が良くないな、どうかしたのか?」
「うん、父さんの仕事が中々決まらなくてね、少し自分の負担が大きくなってるんだよね」
「ふむ、本当にどうしようもなくなった場合は言えよ、できるだけの事は俺達で手伝うからな」
「有り難う、本当にどうしようもなくなった場合は頼らせて貰うよ」
些かの不安を感じながらもこの日はいつも通り過ごしたのだが翌日ーー
「大変よ、誠司君が通学中校門入口で倒れたって!」
「なんだって〜!」
俺達3人は驚き、慌てて保健室に向かう事に、保健室では誠司君は眠っていてまだ意識は戻ってないようだ、医務の先生がいたので尋ねる
「容態はどうなんですか?」
「少し熱があるけど平熱と言ってもいいくらいね、むしろ疲労と栄養状況が気になるわ」
やはり自分でも言っていたように疲れが溜まっていたのだろう、少しして誠司君が目覚める
「ここは……」
「保健室だよ、君は校門のとこで倒れたんだ」
「誠司大丈夫か? 痛いとことか無いか?」
「大丈夫、痛いとこはないよ、ただ疲れてたのか通学して校門のとこまで来た所でそれ以降の記憶が無いんだ」
色々話を聞くと親が就職活動してる間、家庭の事は大体誠司君が賄っていたらしい、妹の面倒を見つつ慣れない食事とかも作っていたそうだ
う〜ん、これはちょっと深刻かも知れんぞ、何とかしないといかん!
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