第十一話 動き出すセカイ?

「はい、これ四季報と日本経営新聞、新聞は定期購読も済ませといたわ」


「お〜有難う、これで健太との勉強も捗るし未来とのズレとかがあった場合も早期に確認できる」


「私も顧客側に説明する為にも勉強しなくちゃいけないし必要経費よ」


「未来のおおまかな動きは知っていても、現在の細かな経済の動向や株式投資の知識は必須だしね、有り難い」


 なんと美和子さんは三が日明け、新年初出勤時に社長に辞表を叩きつけて辞めてきたのである。


 前日、俺が提示したアイデアに興味を示し、速攻で行動に移すのは流石元豪腕セールスレディー、機を見るに敏なり


「それで投資コンサルタント会社の起業に何が必要なの?」


「特別な資格なんて必要ないし、知識さえあれば起業する事に問題ないよ、ぶっちゃけ『コンサルタント』って名乗ればそれでOK」


「えっ、何それ! そんなんで良いの?」


「一先ずは個人事業主としてやっていくんだから法人登記とかも必要ないし、登記が必要になれば知り合いの司法書士とかにその辺丸投げでOK、お金は多少掛かるけど面倒な手続きに掛かる手間を考えれば安い」


「何よりも本来は顧客を捕まえるのが1番大変なんだ、でも美和子さんは太客のお客様との繋がりはバッチシだし、利益を出して地盤が確保出来たら他の子を引き抜いてから法人化すれば良いよ」


「ふむふむ、じゃあ肝心の料金プランはどうする?」


「月額30万!」


「ちょ!?幾ら何でも高すぎよ!」


「いや全然安いくらいさ、未来知識のデータなんだハズレなんて無いし受けられる利益を考えたら納得して貰えるさ」


「それでも最初に入って貰うには結構なハードルよ!」


「それなら例のNTD株の情報、初回という事で無料で顧客に公開して良いよ、それで信頼して貰えばこっちのもんだ」


「成る程、それなら何とかなりそうね」


「後はどれだけ顧客を掴めるかと、どれだけ信用して貰えるかに掛かってる、美和子さんの領分だよ」


「任せなさい、少なくとも数十人は確保してみせるわ!」


 物凄い情熱で美和子さんがこちらに笑顔を向ける、この気迫なら上手く行けそうな気がしてきた。

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