そして勇者になってツッコミ役になって・・・

矢斗刃

そして勇者になってツッコミ役になって・・・

「明日、隕石が降ってくる。」とコンビニで買った袋を落とした。

未来視によってそのことを予言的に理解してしまった。


どうする?どうする?でも流石に把握しているだろう。


この世界は慌ててもいない。

どうして?

政府が隠ぺいしている?

いや、まだそのことに気づいていない。

遥か彼方から、それが落ちてくるまで、時間がかかる。


一体何処なら助かる?と頭の中で思う。

それに考えが及ぶことはない。


食料を買い込んで核シェルターにでも避難するか?

騒ぎ立ててもどうすることもできない。

俺は先ほど見たビジョンから極力逃げようと思ったが・・・


「パスポート取ってなかった。」と愕然とする。


「終わった。俺の人生終わった。」とその場に沈み込んで周りの人間に心配されている。

「あの人、大丈夫?」

「何があったんだろうか?警察呼ぶ?」


「だ、大丈夫です。」と答えて立ち上がる。


頭の中で

色々考える。時刻は昼の12時を指している。

このままではいけないと首を降った。せめて最後の足掻きに出る。


私はT都からK島へと飛んだのだった。

そしてそこからさらにT島へと飛ぶ、時刻はすでに暗く。


どうするか?と考える。



まずは銃だと考える。最低限度の銃を手にしなければならない。

そうしなければここで終わってしまう。


幸いにも近くにA軍の基地がある。

どうにかして横流ししてもらおう。



チャカをぶら下げた軍人を見つけた。ここに遊びに来ているのか?

こんなことはないはずなのに、違反しているのだろうか?

これは使える。


その男を付いて行って一つのキャバクラにに入って行った。


かなりの金払いに女達が群がり、辺りを気にしながら彼が再びこの店から出てくるのを待った。


かなり酔って足もおぼつかない、そんな彼が転がってそのまま路上で寝始める。

俺はこの時だと思い彼の身体から銃を抜き出した。


たぶんバレていないと思う。

そのままそこから立ち去る。



銃を隠すようにポケットに入れて、フードを被りながら誰かわからないようにする。


そして俺が向かうのは種子島宇宙センターだった。

途中で盗んだトラックを運転して守衛の様子を見ながらカメラの位置に気を付けながら、タイミングを伺う。


「今だ!」と車のアクセルを踏みながら全速力で金網フェンスにぶつかりながら突進を決め込んだ。


「おい、何やっている。」と反応するが遅い。

そのフェンスから飛んで中に入る。


ぶーんとフルスピードを出しながら、止めようとする職員たちを躱すテクを見せながら一路スペースシャトルを目指すのだ。


「ダックか?」と車を運転しながらスマホで電話する。

「げっお前かよ。」

「そんな連れないこと言うなよ。この間捕まるところ助けてやっただろう。」

「そうだけどよ。」

「ちょっと頼みがあってな。」

「なんだよ。」

「お前、宇宙船飛ばせる?」

「はぁー、何言ってんだ?」


「今T島にいてさちょうどこれから宇宙旅行してくるから、宇宙船発射台に移して発射してくれ。」


「はぁ、てかお前そこで、げっ、襲撃してるじゃないか!」と監視カメラの映像をハックしているダック。


「なぁー頼むぜ。やってくれよぉー。」と俺は頼み込む。

「・・・しかたねぇーな。対価に今度も捕まりそうになったら頼むぜ。」

「ああ、わかったよ。」

そう言って俺は発射台に向けて動き出す宇宙船を見ている。


「なんで動いてんだ?」と周りが騒がしい。

「知るかよ。そんなの!」と答える。


「ふふ、流石の腕だな。」と感心しながら時間を中でぐるぐるしながら費やす。



車を乗り捨て、爆発音を聞きながら、階段を登って宇宙船に乗り込む。

シートベルトをしめてっと。


「良し出してくれ。」

「ああ。」


ごぉおおおおおおおと宇宙船が震えている。


「じゃあなダック。もう会うことはないだろう。」

「はぁーどういうことだ。」


「それはこの星がなくなるからだ!」


「はぁー?」と驚いた顔をしている。


その時刻やっとA国の宇宙基地がその隕石の観測をしていた。

そのスピードはとんでもなく早く、対策なんてできるわけもなかった。


「オーマイガー。」と皆で言っている。


「さらば!地球よ!」そんなことを言って俺が乗っている宇宙船は発射された。


大気圏を突破して自由航行に入るはずがこの宇宙船は止まらない。


「えっ?なぜ?」と思ってその先まで見ると、迫り来る隕石が見えてくる。


「げぇー隕石。」


俺の乗った宇宙船と大きな隕石は衝突して軌道が変わった。



「オーイエス。」と何処の宇宙センターも言っていた。


そして彼の死は伝説になった。


時の総理大臣は彼を勇者と崇め。

他国の代表たちはラスト侍と言って彼の偉業を称えたのだった。


彼はただ己が生きたいがためにやったことだと知るものはこの世にはいなかった。



「おお、勇者よ死んでしまうとは情けない。」と目の前にいる神がそんなことを言っているが、

「俺だって生きれると思ったよ!」とツッコミを入れたのは仕方ない。

「ああ、それはわしのせいだからな。ふぉふぉふぉ。」

「お前のせいかよ!」とツッコんだのは仕方ない。


俺はこの後、ボケをかます神相手にツッコミを入れまくるのは仕方なかった事だと思うよ。


ああ、俺は神界のツッコミマスターになったようだった。ちゃんちゃんめでたしめでたいし。


「何処がめでたしめでたしだぁー。」

「ふぉふぉふぉ。」と神の笑い声が木霊するのだった。

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