転生したらメタルスライムで経験値狩りモンスターとして生きていくのはうんざりだったので人間として学園生活を送ることにした
西村洋平
第1話 経験値狩りモンスター
誰もが経験値狩りモンスターとして血眼になって追いかける存在、「メタルスライム」。
僕はそんな経験値狩りのためだけに生まれてきたような存在に転生を果たした。
だからこそ転生した当初はめちゃくちゃ追いかけられた。
だけど今は、僕は人間に化けることに成功したのだ!
人間に化けることに成功してから僕はとにかく目立たずにモブAとして生きていくことに決めた。
ちなみに強くなろうとは思わなかった。
レベル上限、この世界にはどうしてもレベル上限というこれ以上強く慣れない壁があるのだ。
だから僕は逃げることにした、メタルスライムらしく。
僕は公爵家の期待の一人息子……ではなくごくごく平凡な召喚士見習いのスレイ・ウェーカーという名前で生きていくことに決めた。ちなみにウェーカー家は王都に優秀な召喚士を代々輩出している家系だ。
この世界は変わっていて「召喚士」と呼ばれる魔力で召喚獣を呼び出し戦う魔法使い?しか戦闘用の職業がない。
魔法使いといっても魔力を使うのは召喚のみで召喚士自身が魔法を使ってきたりすることはない。それゆえこの世界では魔法についての技術は著しく低い。
そんな感じで僕は今日も訓練にいそしむ。僕と姉と母、母が指導して僕と姉が各々召喚獣を呼び出して戦わせる感じ。姉さんは七大精霊とかいう激レア召喚獣を引いたため、もう勝ち組確定である。さすがは期待のホープって感じ。
僕はというと、自分と同じメタルスライムを呼び出した。
そんなわけで、はずれを引かされた僕は姉さんにいつもボコられている。
毎回攻撃が当たらなくて姉さんをイライラさせているけどそれ僕のせいじゃない。
だから僕は今日も「ふぇっぇぇっぇぇん!やめてよぉぉぉ……」と泣きながらボコられているのだ。
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そんな毎日を過ごしていて16歳になった僕ではあるけど、転機が訪れた。
王都の召喚士育成学校への入学である。
この世界だと16歳になると王都の「メノスタリア召喚士学院」に入学させられるらしい。
モブAとして細々と生きていきたかった僕には耳の痛くなる話だったけど家からの圧もすごいしここは逆らわない方がよさげかな。
ということで、まずは入学式。
「貴学に入学された諸君らは、ここで召喚士として道を――」
恒例の物凄い長いためになる学長の話。
めんどくさいからなんか主人公キャラとかいるかなと思って探してみたけど、なんか明らかにすごい魔力が7人。
学園上位七名ってとこかな。
あぁいうキャラは大体プライドが高い上にお嬢様だったりするのだ。
僕はその7人にはこの学園生活で絶対にかかわらないでおこうと覚悟を決めた。
そしてなんだかんだ長い学長の話も終わり在校生の話になった。
「……入学された皆さん、まずはおめでとう…!」
「ここへ来るまでに、試験など様々な壁があったはず…しかしそれを乗り越え今ここにいる皆さんにはこれからも壁を乗り越える意思があると受け取っていいと思う」
「だからこそ……」
そういうと、ザ・生徒会長なキャラのやつが壇上で剣を掲げて魔力を一斉に解き放つ。
「この壁も超えてみたまえ」
生徒会長キャラの魔力波に充てられて、次々に生徒が倒れていく。
「……残ったのは、8人か」
生徒会長が剣を鞘に納めて、静かに呟く。
「では君たちは試験合格、倒れたものは不合格とさせてもらおう」
え、試験ってこれ続いてたの?てっきりもう終わったのかと思った。
僕たちは入学する前に試験を受けていた。
実技と筆記、確かに両方あるとは知らせてあったけど、筆記しかなく入学式の運びになったので、中止になったと思ってた。
「これは実技試験、入学式だからと気を緩めるようでは……ここからの試練には耐えたられそうにないね」
僕の他に立っているのは、さっきの魔力がすごかった7人だけか。
いや……ってかこれモブとして退場しておくべきだったんじゃないの?ここで退場
しておけば、泣く泣く実家に帰らされる悔し泣きモブが演じられたはずなのに……。
「では、このまま2次試験を始めます」
「二人一組となって、タイマン形式で戦っていただきます」
そういうと、全員の視線が僕の方に向いた。
なるほどねぇ、タイマンで……。
ってかなんでみんなこっちめっちゃ見てるの?モブは背景と同化するのが仕事のはずなのに……。
いや、逆にモブだから弱い奴を狩るって思考か…。
どうやら僕はどこに行っても狩られる運命からは逃れられないらしい。
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