贅沢な刑務所 1万 短編
鷹山トシキ
第1話 贅沢な刑務所
あるところに
蟻戸はある冬の夜、レディーボーデンを食べながらノートパソコンをいじっていた。蟻戸は大のホラー好きだ。都市伝説について調べていると、『贅沢な刑務所』という記事が載っていた。ライターの名前は
『私の友人は
蟻戸の貯金額は20万くらいだ。
ネットで海外旅行にかかる金について調べた。
海外移住の初期費用の目安は、先進国で約100万円、物価が安い国で30~50万円程度。 夫婦2人で移住する場合は、先進国で150万円、物価が安い国で50~80万円ほどが移住費用の目安とされています。 なお、老後にリタイアメントビザで移住するといった場合、一定の預金や収入があることがビザの条件とされていることがあります。2023/10/26
海外どころか国内だって無理かも知れない。
税金や健康保険でかなりかかる。それだけじゃない、蟻戸家は毎月6万を入れないといけないルールになっている。このままじゃ無一文になる。
蟻戸は犯罪関係の映画を見たいと思った。
彼はこれまでピンポンダッシュすらしたことのない善良な人間だ。
蟻戸は栃木県野比町に住んでいる。野比町にはTSUTAYAとかないから文明から乗り遅れている。
野比町の東にある図書館で『OUTRAGE』を見た。北野武とか椎名桔平とか出てくる。椎名桔平が拷問されて殺されたり、あんなこと俺には出来ないと思った。
ギャングのマックス
「炎月にある刑務所に入ると金粉の入った風呂に入れるらしい」
12月5日、鶏冠が新宿にある自宅で『今夜はナゾトレSP』を見ているときだった。
「炎月ってどこにあるんだ?」
「山梨にあるらしい」
「『どうする家康』見てるか?」
「大河は見ないからな……」
「阿部寛の武田信玄がカッコよかったよ」
「そういや、信玄は山梨の人間だったな?」
鶏冠は最近ボケが進んできて、金庫の暗証番号をうっかり忘れてしまった。若頭の小峠正広から、「次何かやらかしたら破門だからな?」と、脅された。鶏冠たちの所属している蟻戸組では最近、破門されたOBが次々に変死してる。
「来年、孫が生まれんだ。孫が大人になるのを見てみたい」と、井桁が帰り支度をしながら言った。最近買ったらしいモスグリーンのコートを羽織った。
「死にたくないな」
「なぁ、鶏冠? 組から逃げないか?」
「そんなことしたらどんな目に遭うか分かったもんじゃない」
最後の大仕事と、オルリー成田空港で5億の金塊強奪に成功、ほとぼりが冷めるまでマックスが隠し持っていずれ換金する計画であった(映画では強奪シーンは描写されず、既に強奪が行われてからの顛末が描かれる)。
静かな隠退生活を待ちながら素知らぬ顔で日々を送るマックスだったが、金塊をせしめた秘密を、日頃から不注意なリトンは自分の入れ込んでいたナイトクラブの若い踊り子・ジョジィに漏らしてしまう。実はジョジィは、売り出し中の麻薬密売組織のボス・アンジェロの情婦であり、マックスとリトンはアンジェロから付け狙われる事になる。
アンジェロの手の者から危うく難を逃れたマックスは、自身の隠れ家にリトンを匿い、彼の甘さと自分たちはもう若くはないという現実を諭すが、リトンは独断でアンジェロと対決し、拉致されてしまう。
リトンの愚かさに苛立ちつつ、二人の腐れ縁を追想し、マックスは忸怩たる感慨に耽る。ほどなくアンジェロから、リトンと金塊の交換が持ちかけられてきた。
これは罠に違いない、と悟ったマックスは、仁義なき振る舞いに及んだアンジェロを倒してリトンを救うため、旧友・ピエロらと共に、隠匿していたサブマシンガンと虎の子の金塊を携え、取引の場へ赴く。だが闘いの末に待っていたのは、勝利と呼ぶには余りにも苦い結末だった。
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