ネトラレうれしい! 許婚のモラハラ幼馴染が寝取られたけど、間男の告白を蹴った美少女たちが、俺と幼馴染が別れた途端に恋心を露わにしてくるんだが。
東夷
第1話 モラハラ許婚彼女
スマホを握った手ががたがたと震えた。
【おまえの彼女はオレが寝取った】
そんなシンプルなメッセージと共に添付された動画。フェアリーを名乗る正体不明の人物から俺のLINEに送りつけられた動画の内容が衝撃的過ぎたものだったからだ。
質の悪いイタズラじゃないかと念のため、動画の再生ボタンを押すと今から一戦交えますって雰囲気満々。本棚や家具などから見るにラブホではなく男子の部屋だろうか?
『あん♡ くすぐったい』
『でも嫌いじゃないだろ?』
『んんっ! そこ、来ちゃうっ』
いつも一緒に下校していた許婚の彼女、絵里花は最近用事があると俺と帰らないことが増えていた。そんな絵里花がクラスメートでヤリチンと噂の石田とベッドの縁に座り、制服を脱がないまま親しげに愛撫しあっている。
『白川のことなんか忘れさせてやるよ』
『いまは優一の名前なんて出さないで』
『そうだな、いまは絵里花のことだけを……んん』
シャツのボタンを外し、いまからが本番とばかりに脱ぎ捨てると石田は絵里花にキスを落とし、ちゅちゅと卑猥な音を立てながら互いの舌を吸い合う。
『きて、渉っ! もう我慢できない……』
『ああ! 行くぞ絵里花』
二人は生まれたままの姿となると、本能に従う。両親や妹には絶対に聞かれたくない絵里花の嬌声が俺の耳のなかに響いていた。
これぞ、ハメ取り動画といった感じできっちり男女の営みを俺に見せつけるかのように激しく交わった二人の動画を見終わったあと、俺は強く拳を握る。
視線を隣にある絵里花の邸宅に移すと、窓に映った俺の口角は上がっていた。
――――数周間前のこと。
パシャ♪
レタスを下に人参と大根を薄く剥いて、赤バラと白バラを作り、まるで花束のように盛りつけられた
「ほら見て! 見て! もう〝いいね 〟ついてる」
「……」
インスタに映えるお弁当を持ちながら自撮りをアップして、スマホの画面を見せ、悦に入った絵里花。
背中まで延び、天然ゆるふわパーマがかかったボリュームのある髪型、化粧映えのする顔立ちにより目鼻立ちはそこそこ良く見える。お化粧により、バフがかかっていることはみんなの前では内緒であるが。
みんな、俺の彼女の容姿に騙されている。垂れ目で優しそうな目つきをしているが、微笑んでいるときでも目はまったくと言っていいほど笑ってはいない。
「優一、あ~ん♪」
「あ、うん」
撮り終えると彼女は箸でおかずを堂に入った美しい所作で一口サイズに切り分けると摘まんで、俺の口へ手を添えながら運んだ。絵里花の差し出したおかずを俺はパクリと頬張ると、得意気な笑顔を浮かべて訊ねてくる。
「どう? 私の作った玉子焼き」
「おいしいよ」
「だよね~」
頬杖をついて顔を傾けながら、俺の顔を覗き込む絵里花だったが、俺は自分が情けなくなる。
なにが「だよね~」だよっ!!
当たり前だ。
ピンク色のかわいらしいお弁当箱に盛られたご飯におかずは俺が早起きして絵里花に作らされたものなのだから、旨いに決まっている。テリーヌように切り口が独特の光沢を醸し出す濃厚な玉子焼きの旨さに、俺は慰みの自画自賛をした。
――――白川と佐々木って仲いいよな!
――――くそう……おれも彼女ほじい……。
――――絵里花と白川くんが羨ましい~。
――――幼馴染ってなんか憧れるね!
俺と絵里花を生暖かく見守るクラスメートたちの視線。
こんな見え透いたイチャコラをわざとらしくも教室で見せつけているにも拘らず、自分を良く見せるということに長けた絵里花により、俺と絵里花は学校一のベストカップルという扱いにされてしまっている。
まったくもって迷惑な話だ。
【俺は彼女の奴隷】だと言うのに……。
親同士が決めた結婚……俺と絵里花は時代錯誤も甚だしい許婚って奴だった。
「ほらほらもう1000いいね、もらっちゃった」
「すご~い!」
「絵里花って、なんでもできるよね!」
「まあね~、実力ってヤツ? なんてね♡」
「「「あははは……ウケるって」」」
お弁当を食べ終えると絵里花は彼女の下に集まってきた陽キャグループの女子たちと談笑していたが、俺もこのなかに入らされて、とにかく肩身が狭い……。
いたたまれなくなり絵里花の添え物の俺は現実逃避がてら美しい景色を愛でようと、頬杖をついて教室の前方を見る。
金とも銀とも判別のつきがたいプラチナブロンドの腰まで伸びる長い髪が窓から差し込んだ陽の光を受けて輝いていた。
くりっとした大きな瞳に長いまつ毛、愛らしい唇に通った鼻筋、整った顎の輪郭……まるでこの世のなかの美がすべて彼女に集まってしまっているかのような錯覚を受ける。
一目見ただけで美少女と分かるだけでなく、どの方向から見ても絵になってしまうような子だった。そんな彼女は険があるとまでは言えないが、ほぼすべての男子に素っ気ない態度を取っている。
「石田さんならスカウトとかいっぱい来てるでしょ?」
「モデルでもグラドルでも女優でもできそう」
「ごめんなさい。私、そういうの興味ないから」
彼女の人並み外れた容姿は、物を言わなくても甘く美しい花に虫たちがこぞって群がってしまうように見えた。
「えーっ! もったいないって」
「そうだよ、応募でも絶対通るって!」
「おいおい、人の妹に手出すなよ。デートの申し込みってんなら、ちゃんとオレに許可取ってくんなきゃな、志穂」
「はぁ……疲れる」
ため息をつきながら志穂さんは嫌悪感を覚えたように石田と男子たちから顔を背けたときだった。ふと志穂さんと目が合うと、その瞬間彼女は頬を赤く染めていたような気がしたがすぐにぷいと視線を俺から逸らした。
だよな。
学校一の美少女である志穂さんが俺になんて好意を抱いているわけがない。
ただ幻だったとしても、絵里花の奴隷生活を送る俺にとっては春の暖かい風が吹いたような気分だった。
完全に絵里花の添え物と化した俺だったが、それも昼休憩の終わりを告げるチャイムがなったことでようやく解放された。
がらがらと音を立て教室のドアが開き、上着はスーツ、タイトスカートにストッキングといかにも女教師といった美女が入ってくる。
―――――――――あとがき――――――――――
彼女が寝取られ、乱れていく姿に興奮しちゃう変態紳士の読者さまには先に謝罪しておかないとなりません。本作は主人公の価値が分からずに浮気してしまった彼女が激しく激しく後悔するざまぁラブコメです。NTRちゅきちゅき性癖に添えないことをお詫び申し上げます。
さあ、ざまぁが見たい諸君。これからが本番行為だwww
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