11 無才の冒険者 その11

 2回目の狩猟を終え、ラハクは冒険者ギルドに戻って来た。成果はホーンラビット×13、グラスウルフ×7、途中で見つけた薬草×5と毒消し草×3だ。冒険者ギルドに加入したばかりの成人成りたての15歳の男の子が午前午後と成果を出したことも去ることながら、野生の薬草と毒消し草を発見したことにも驚かれていた。

 どうやら薬草などの類は栽培されているのは草原にはなく、薬師たちが各々栽培していて野生で生えていることは滅多に無いらしい……

 ラハクは「うっかり種が飛んでって自生したんじゃないの?」と考えていたようだが……

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──ざわ……ざわ……ざわ……──


「え……っと?」


「ホーンラビットを13頭です。討伐部位の角13本、毛皮13枚、お肉13個ですね」


「あ……はい」


「それと、グラスウルフを7体です。ちょっと解体方法がわからなかったのでそのまま持って帰りましたが……ダメですか?」


「あ、いえ。大丈夫ですよ?……解体方法は裏の倉庫の人に聞けばいいかと……」


「わかりました!……後、薬草5つと毒消し草を3つ、帰り道で見つけたので」


「それですよ、それ!」


「……何か不味いのですか?」


「いえ……元々、薬草の類は薬師の方々の専用の畑でしか栽培されてないんです!」


「……そう、なんですか?」


「はい。野生の薬草などの株は採り尽くされてしまっていてですね……グラスランドの草原には生えてないんです……ひょっとしてラハクさん、薬師の工房に寄って……」


「いえ?……そもそも、薬師さんの工房?の場所ですら知らないんですが……」


「……ですよね。工房……というか薬草畑は機密扱いですし、そもそもギルドの中でも知ってる人はギルマスとサブギルマスしか知りませんし……失礼しました」


「あ、はい……。とすると、この薬草などはどうしたらいいんでしょうか?」


「ちょっとお待ちを……上の者と相談して来ますので……」


 ……と、何だかキナ臭い雰囲気が漂い始めたが……


「あ、こちらの処理だけ致しますか?」


 と、隣の受付嬢さんが話し掛けてくる。


「あ、はい……宜しくお願いします」


 という訳でグラスウルフ以外の……ホーンラビットの分だけを処理して貰った。結果、ホーンラビットの討伐報酬で銅貨26枚(午前の分と合わせると60+26で86枚)ゲット。毛皮の買取金額はまだ不安定なのか13枚納品したけど銅貨30枚(同じく午前の分と合わせて54+30で84枚)ゲット。


 残るお肉は午前の29個中半分はギルドの酒場に卸し、もう半分は外部の食肉店に卸したそうで今回も半々となるそうだ。単価は1つ銅貨2枚だがギルドの酒場で使える食券を付けてくれるらしい……枚数はホーンラビットのお肉10個につき1枚で半額クーポンになっているらしい……で、合計42個のお肉は銅貨84枚となった訳だ。


※食券じゃなくて割引クーポンってセコイ……かも?



(酒場の食事って幾らくらいなんだろうな……)


 ま、それは後で夕食にでもわかるって訳で。


「じゃ、はいこれ」


 と、銅貨でジャラジャラだと嫌だな……ってことで大銅貨混じりで支払われた。午前の分は大銅貨17枚と銅貨2枚。午後の分はホーンラビットの分だけで大銅貨8枚と銅貨2枚だ。それと食券が合計3枚。半額クーポンなので3回分の食事が半額サービスって訳だ。


 今できるだけの処理を終えた頃に先程の受付嬢が戻って来た。



「上の者と話し合った結果、現物を薬師ギルドの者に提出。盗まれた物であるか協議し、ラハクさんの言葉通りであればお咎め無し。どうやって野生種として育ったか検査したのか研究の為に買い取って調査するとするそうです」


「有り得ないですが……もし、盗んだ物と判断されたらどうなるんですか?」


 不安になって質問すると、


「薬師ギルドに盗みに入った罪人として処罰されますが……そもそも場所を知らないのですし大丈夫ですよ!」


 ……と、余り安心できる材料が無いような気がするが頷いておく。


(はぁー……まさかこんな疑いが掛かるとか……拾ってこなければ良かったかなぁ?)


 ラハクは後悔をしつつ、大銅貨25枚と銅貨4枚を財布代わりの革袋へ。それと食券3枚を懐に入れてから裏庭の倉庫へと向かうのだった……


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 グラスウルフ7頭の死体そのまま入ってるので、回収袋は重いままでした……(苦笑)


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