無才の冒険者
じょお
無才の冒険者
旅立ちの章
01 無才の冒険者 その1
無才の者……だが、その時は才能が無かったとしても……生まれる才能が無い訳ではない……
若者よ、求めよ……されば、授かるだろう……否……己の中から産まれるだろう!
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──無能と呼ばれた子──
「やーい!このムノー!」
小石がこんっと頭に当たる。もう慣れたけど……
別に僕はムノーって名前じゃない。それに
自己紹介が遅れたけど……僕は「ラハク」だ。平民だから家名は無い。
住んでいるこの村は「エメヒチカ」……「イマメヤソヤノ」地方に在る、僻地の寒村だ。まぁ……大した産業も無いし自給自足の生活を送っているので平民といっても自分の食い扶持は自分たちで用意しなくちゃならない……村では物々交換が主でお金を使って売買は余り馴染みが無いし、ほぼみんな純粋な農民だけど……うちだけは半農半民みたいなもんだね。
父親は村の文官をやっている……まぁその為に村に呼ばれたどかどーとか……畑の世話は僕と母が一緒にやっている。妹ももっと大きくなったら手伝うといってくれてるけどね。
でもって、ムノーって
「あいつは無能なんだぜ」
って喋ったらしくてさ……まぁ、たまぁーにそんな人が出る訳なんだけど……。大人たちは特に侮蔑の目を向けることもない。戦いに出る訳でもなければ普通に仕事はこなせるから。確かに戦闘向けのスキルを得られれば……こんな田舎の村だ。狩りなんかで大活躍はできるし純粋に戦闘向けのスキルなら出世もできるかも知れない。例えば、もっと栄えてる町なんかに出て冒険者になるとか王都で兵隊取り立てて貰うとかね。噂じゃそこそこの賃金は貰えて安定はしてるけど出世するには凄い手柄を立てないと無理って聞くけどね……
「でもな……」
魔王とか悪い奴はとっくの昔に斃されたって聞くし、どちらかというと魔物よりも悪い人たちが悪さをして人を殺したり財産を奪ったりとかしてるらしいし……。村の子たちは同じ人間を殺して英雄になりたいって思ってるのかなぁ?……別に普通に食っていければ無能でもいいと思うんだけどねぇー……
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無欲の主人公。
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