第6話 教室には主人公専用席がある
教室は【1-E】。一クラス三十人。窓側の席、後ろから二番目がアイナの席。一番後ろが私の席となっている。
アイナの席はちゃんと原作通り。唯一違うのは、私が座っている元クラスメイトは教室にいなかったこと。
教室に入ってすぐに前後隣の女子生徒に話しかけるコマンドが表示され、会話した記憶がある。覚えている限り、特別なシナリオにはいかない。完全に背景と同化しているモブ。
だから、私が代わりに座っていても影響はないっと無理やり解決した。
思わず歓喜の息を出してしまった。
「本物だ......」
アイナがクラスメイトと談笑している後ろで教室内を観察。二人ほど制服が違う。『リーリウム・オスクルム』のシナリオに登場するメインキャラクター達は、他のモブキャラクターと見分けられるように制服が改造されている。
アイナの前に座る女性キャラは頬杖をつき、外を眺めている。
金髪ショートヘア、翠色の瞳、制服にゆったりとした白のパーカー。派手で麗しい容姿。火魔法の使い手、
もう一人は......やっぱり、消えたか。
現時点のアイナのステータスでは感知できない。私が感知できるのはおそらく吸血鬼の能力のおかげ。彼女と本格的に接するのは六月から。アイナには六月一日までにある魔法を覚えてもらう必要がある。
考えにふけっていると担任の先生が入ってきた。黒のパンツスーツに身を包む
今日は入学初日という事で、ガイダンスだけで終了した。
アイナは振り向き私に話しかける。
「バロン......これから」
アイナが何かを言いそうになった時、担任の
「ブルゲリアンさん、それからバロンさん。学園長がお呼びです」
周囲が少しざわめく。ヴィクトール学園の学園長は訳あって姿を見せない。一部の生徒と教師しか顔を知らない。
入学式ではスクリーンが登場。モニターの人物は姿をぼかし、声は編集された状態でありがたいお話をしていた。当然、新入生は唖然とドン引きした表情しか出していなかった。
そんなぶっ飛んだ学園長に会える、さすがはブルゲリアン王国の第一王女と注目の的となっていた。
それに比べて、私を見るクラスメイトは少しおかしな表情をしている。
まー、わかりますよ。アイナならともかく、銀髪赤目しか特徴のない私。得体の知れない学園長が学園生活初日で、自分たちと同じクラスメイトが会う。それだけで私はものすごい人物なのかと認知された。
「行きましょう! バロン」
「はい! お......アイナ」
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