フォルスシスティラ



 噂があった。


 その教会は太陽のような神官がいると。




「おはよう!!!!!!!!」

『うるさい!!』

「起きたら朝ごはんだよ!!!!!!!!!」

『わかったからうるさい!!!!』


 ……もしかすると、太陽よりも何百倍も厄介なものかもしれないが。




 その神官はナルテゴと言った。明るくうるさく元気良く大声で、そして何よりも声量を最大限にして生活していた。近隣からの別名は『目覚ましオレンジ』である。


「朝ごはん食べたらお散歩して、お昼までいっぱい遊ぼう!!!!!!!!!」

「はーい」

「うん」


 ちなみにオーケストラやバンドでもそうだが大音響を聞き続けると耳が慣れる。ここの子供達は慣れきっている。朝はいつまで経っても慣れない。


「それじゃあお散歩だ!!!!!!!!!」

『はーい』


 お散歩。それは何個か意味がある。


「おはようさん。朝から元気じゃの」

「はい!!!!!!!!!」


 ご近所さんへのご挨拶。


「ほら、頑張れよ」

「ありがとうございます、これからも頑張ります!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 もしくはありがたい寄付への感謝。


 それと。


「ほら!起きなさい!」

「おはようございます!!!!!!!!!」


 遅刻未遂への強制起床。


「いつもありがとうね、これは気持ちよ」

「わぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」




 小さな背丈でてこてこと歩く愛らしい生き物は数年前にここに来た。前任者はかなりの歳であったので耳が遠く、はっきり聞こえやすいとか言っていて気付かなかった。


 近所の皆様は無理矢理慣れさせられた。


「さあ!!!!!」

「うるっさ」

「今日はたんぽぽのお花をみんなで探してみようか!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「うるっさ」


 キラキラとした目で意気込む姿に遠くの通行人は微笑む。近くの通行人はイヤホンを貫通して聞こえてきた声にビビり散らかす。テレビで聞こえてきたら1発で身バレである。


 不幸にも近くで聞いていた子供の鼓膜にそう見過ごせないレベルのインパクトが叩き付けられたこと以外は平和に蒲公英探しは進む。

 ちなみに一番蒲公英探しを楽しんでいるのは本人だったりする。


「こっちにも!!!!!!!!!」

「どっちなの?」

「おんあつがすごい」

「おみみこわれる」


 全方位から暴力的な衝撃波を浴びせられる子供達は慣れたものであった。


 そのまま蒲公英の葉を採集して粥に混ぜてみたりして夕食に食べる。食べられるかどうかは知らないが聴覚から圧倒的な美味しさが蹴り込まれるので恐らく美味しいのだろう。


「ね!!!!!!!!!」

『おいしーい』

「むふー!!!!!!!!!!!!!!!!」


 食後の入浴の後に爆音の子守唄を聞かせられ、気絶するように眠る子供達。本当に気絶しているのかとか魘されているとかそんなもんはいらない。


 今日も楽しかった。


 明日は何があるのだろう。




 輝く日常は太陽の如く彼女が産む。


 夜だけは、死後のような静寂が辺りを包む。



 明滅を繰り返す太陽。




 光が無くなると、日常が壊れる。

 近隣住民達は彼女の就寝と合わせて部屋の光を消す。規則正しく、明るく暗く。

 世界の中央には彼女がいる。


 流星の如く現れた彼女は、知れず心を掴む。





ここまでが現状です。

反応次第で正体というか詳細の設定を放り投げます。なろうの方のネタバレになるし、うちの卓でくるるふしてるお兄さんお姉さんにも後々のネタバレとなります。


まあ殺す時は躊躇無く殺すからね。せいぜいダイスを弄くっておくんだな。

ゲッゲッゲッゲ!

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Dual Sister 濁烈叫悦のアスラトシカ・ジンジャー @Vaemilrior

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