髪をきってみたいと言ってみる
可愛い恰好をサシャとブリギットと一緒にした数日後、僕はのんびりと過ごしている。本当にこんなにのほほんと何もせずに過ごしていいのかと疑問に思うぐらいである。
そういえば髪を切ってもいいなぁと思っているのに、それをサシャたちに言っていなかった。
髪を切ってくれる人を呼ぶにしてもサシャに呼んでもらうわけだから、言ってみようと思った。
僕はサシャと一緒に過ごすことも多いけれど、一人でウィメリーとトウリウスを連れて城内は結構ぶらぶらしていたりする。
こうやって城内を見て回るのも凄く楽しいことなのだ。
自由気ままに探索をするのは楽しい。ルズノビア王国では僕は限られた場所にしか行けなかった。衣食住が限られた場所で完結していて、聖女という存在が何処までも特別だからこそそういう勝手な行動は望まれていなかった。
でも帝国だと、うろうろしていても特に何か言われることはない。
僕が騎士たちの鍛錬所に顔を出しても誰も咎めない。騎士たちに飲み物を渡したら凄く喜ばれた。可愛い僕から応援されるとやる気が出るのかな? 嬉しそうにしてもらえると僕は嬉しい!
騎士たちはサシャの強さに憧れているんだって。
僕もサシャのことが大好きだから、こうやって皆がサシャのことを大好きなのが嬉しいなって思う。
まぁ、でもサシャは結構思いっきりが良いから敵対している国とかに悪く言われたりしているみたい。
そう考えるとそういう上に立つ立場って大変だよね。
大変だけど一生懸命女帝として頑張っているサシャのことを癒せたらいいな。
あとブリギッドは自分の力を高めるための場所を整えている。僕にはよく分からないけれど、結びつきを深く出来そうな丁度良い場所があったみたい。サシャはブリギッドがその場所を使いたいと言ったら二つ返事で頷いていた。
どういう場所が出来上がるのか僕は今から楽しみで仕方がない。
そういうことを考えながらサシャの元へと向かう。サシャは女帝として書類仕事などもよくやっているけれども、体を動かすことも結構やっている。今は城の周りを走り回っているらしいので、そちらに向かう。それにしても色んなところを走り回ってたりするのってサシャらしいよね?
そうやって走り回っていたりしているので、城内で働く人たちってサシャと関わることかなり多いらしい。
守られるべき為政者がそうやって歩き回っているのは守りにくいだろうなとは思う。とはいえ、サシャ自身が自分のことを守れる人間なのでその辺は大丈夫なのかな。騎士たちよりもサシャは強そうだもんね。
「サシャ!!」
僕は走り回っているサシャの姿を見かけて、声をかける。
サシャは動きやすい恰好である。上は肩だしの服で、下はズボン。
それにしても走るの速いなぁ。
「ウルリカ」
サシャは僕のことを見かけると笑顔を浮かべてくれる。
僕の顔を見るとそうやって笑ってくれるの嬉しいな。
「サシャは凄いね。足が速い!」
「そうか?」
「うん。僕、全然追いつけないもん」
これだけ素早く走れると気持ち良いだろうな。誰にも負けないぐらいのスピードで走れて、強くて、うん、サシャってかっこよさも持ち合わせている。
「サシャ、あのね、僕、髪切ろうかなと思うんだけど!」
「切るのか? こんなに綺麗な髪なのに?」
「うん。この国だと僕が男だって広まっている状態だから、女の子みたいに髪を伸ばしてなくてもいいかなって。僕、聖女になってからずっと髪を伸ばしていたんだ。なんかそれが聖女に相応しいとか言われて。だからちょっと違う髪型したいなって! もちろん、可愛い僕が僕自身も好きだから変な髪型にはしないよ!」
僕がそう言ったら、サシャは笑ってくれた。
「そうか。もったいない気はするが、ウルリカが髪型を変えたいなら我は切るといいと思う」
「ありがとう! 切ってくれる人を呼んで欲しい」
「じゃあ、手配しておこう」
「ありがとう。サシャ! サシャは髪をもっと伸ばしたりしないの? 僕はサシャがもっと髪を伸ばしても可愛いなぁって思うんだけど」
「……考えておこう」
僕はサシャの色んな髪型の可愛い姿が見たいなと思っていたので、提案する。
そしたらサシャは頷いてくれた。
「サシャが髪を伸ばすの楽しみだなぁ。今の僕と同じぐらいの長さにしてみようよ。そしたらいっぱい、色んな髪型出来るよ?」
サシャの髪は少し短めだから、長くすると色々可愛い髪型出来るよね。例えばこの前の僕やブリギッドがしていたみたいな髪型も出来ると思うんだ。
そういうのも似合いそう!!
僕は自分の髪型をいじるのもあまりしたことないけれど、サシャの髪を僕の見たい髪型にしてみたいから侍女に習ってみようかな?
そんなことを考えると僕は楽しみで仕方がないのだった。
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