第三章 アオナ『世界を変える物語』

第19話 転移者アオナ

 彼女は二十歳の日本からきた女性だった。

 同郷ですし、極力できることであれば願いを叶えてあげてこの世界で生活して貰おうと思います。


「なにか希望はありますか?」


 アオナは少し考えた後、答えた。


「不老不死。あとお金に困らない能力を下さい」


 う〜ん。結構な無茶をおっしゃる。元の世界で随分と苦労した様です。

 しかし、永久不滅な物質をあの世界に作る訳にはいかなかった。

 そこで考えた結果、まず今の体を個人用領域に保管する様にした。

 幸い、彼女は時空魔法の適性を持っていましたし。


 あの国の人は時空魔法の適性が発現しやすい。魔法の属性は強い根源の要求に引っ張られる。比較的、生命が脅かされる事が少なく、裕福なあの国では自然な事なのかもしれない。

 生命の渇望は生命属性、強さや技術的な欲求はエネルギー属性に繋がりやすい。


 私の世界では基本的にはエネルギー属性で生命属性が一割ほど、時空属性はごく稀に発現する。


 端末を創り、端末が破損したら自動修復する様にしておこう。

 これで不老不死と同義である。


 それとお金に困らない様にでしたっけ?


 あの世界では魔石がお金の役割を果たします。含有マナが数値化され、任意で魔石同士で移動できるのでそれがお金としてやり取りされる。キャッシュレス決済である。

 鉱物とかで貨幣を作っちゃうと簡単に複製出来てしまうので色々と問題があった様だ。


 だから【黒竜の血の杖】をあげた。


 あれは空気中のマナを取り込み結晶化する事を可能とする。

 その性質は、非常に容量の多い情報の保管庫。

 マナや知識を記録、記憶する。

 竜の血を媒体としたマナの循環サイクルを促進させるツール。


「これでいいかな?あまり初期に詰め込んじゃうと素質残量がなくなって応用が効かなくなっちゃうし」


 素質残量は人に許された上限値。それは私の創ったあの世界での人の限界値。


ーーーーーー

【アオナ】のステータス

異能干渉システム・ジャック:他人の異能に干渉する能力*未完成』

空間収納インベントリ:個人領域を空間化し物を収納できる能力』

自動保存オートセーブ:肉体破損時、空間収納内で復元される能力【軽度の損傷は即時その場で復元】*常時発動』


『空間魔法LV1:LVレベルが上がる毎に空間魔法の効果が倍になる』

『素質残量44:魔法取得及び魔法レベル上昇により消費される。最大値100固定』

ーーーーーー


 アオナのステータスはこうなった。 


「あ、でもこのままだと戦闘能力皆無だからすぐ詰んじゃうかも?」

「それは困ります!!」

「時空魔法に戦闘向きの魔法はないしどうしようかな・・・」


 あ、そうだ!


「従者を一人つけてあげる♪杖にインストールして置くから」


 あとは異能干渉システム・ジャックを改造して魔物服従テイムと魔物に唱えると魔物に従者がインストールされる様にした。魔物の体が破損すると杖に戻る様にした。


「人には使えないから気をつけてね」


 私は彼女を見送る。不老不死かぁ・・・後悔しなければいいけど。

 まぁ、自己責任だし仕方ないよね。


「これ以上は私は基本的には干渉しないから頑張って生きてね」

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