第17話 進化と文明の繁栄と衰退。そして・・・
私は私の領域を創り花畑に天蓋付きのベッド、空と雲と雨と時間の世界でゴロゴロしながら世界を覗いていた。
言語は『言語録』という名の日本語辞書をカタカナの簡易版にしたものを渡してある。
発音は魔法用に改良した発音をポチタマが追加の十人に教えた。
とりあえず、生活は成り立っている。
まぁ、そもそも死なないんだから、成り立たないはずもないか。
「アイ〜何してるの?」
暇だからいつもの様にアイに話しかける。
「時空魔法の調整。バグが多すぎますぅ〜。空間収納以外は使用不可にしていますよ」
あ〜、やっぱりキツイかぁ。任せよう。
「メイは何してるの?」
「繁殖に成功しているので、子供の成長とマナとの兼ね合いを最終確認しています」
「ん?え?ええええええ!?繁殖!?成功済み!?むしろ、性交済み!!?」
「はしたないですねぇ・・・」
「奇跡的に調整は成功していますので多分、今後も増え続けるかと思われます」
え?それ大丈夫?増え・・・『続ける?』
どこまで?どこまでも。
それは、そもそもにバグである。
私は『死』について考える。
人1人の記憶に使う『容量』なんて知れているけどいずれ『限界』はある。
無限ではないのだ。
『私は、私、アイ、メイ以外の生き物に上限を設けた。』
それは苦渋の選択だった。
元々、人の脳の容量には限界がある。
私たち三人はその理の外にいる。
人は無意識にその知識を継承し、託し、進化する。
私は今更ながらに理解する。
『私は、生み出すと同時に殺しているのだ。』
導入するにあたって住人全員に確認をとった。
「イキモノ ツチ カエル フツウ」
ポチタマ達はとっくの昔に受け入れていた。
他の生み出した人達はどこか無感情だった。
しかし死が生まれた時、人は確実に進化を始めた。
限られた時間を大切にする。
当たり前の、必要不可欠な進化の素養。
『私には・・・それがない。』
・・・
住人達は道具を創り始めた。
物理法則は導入済みなので摩擦熱で燃焼と結びつけて普通に火おこしが出来る。
マナの発火現象を紐付けした。
ん〜、元の世界とあまり変わらない。
住人と動物が増え続けていた。
住人同士の争いが頻繁に起こる様になってきた。
自己責任と割り切り極力干渉しない様にして見守っている。
資源は潤沢にあるのになぜ争うのか?
個性が発生しているから自然と優劣がつく。
避けられない事なのかも知れない。
人同士の攻撃干渉を封じるシステムを導入する?
いや、やめておこう。別の形に変化して苦しめるだけだ。
人々は争う。攻撃対象を探し、優位に立つ事で欲求を満たす。
それが自然な事の様にすら思えた。
私は『魔物』を創った。
人と敵対する存在。共通の敵。
魔物は魔石を持つ。マナを結晶化する機関であり、魔石を持つ動物が魔物となる。
ゲームの世界。敵を倒す事でレベルアップする。
成長するシステムを創り、生きる目的を追加した。
潤沢な資源の中でも、成長を続ける為に。
争いの対象を限定し、共闘する為に。
そして、それは人口の無尽蔵な増殖を調整するシステムでもあった。
それが多くの命を奪うのだとしても・・・必要だった。
魔石を利用した魔道具も生まれた。
それは生活を豊かにした。それは燃料であり、電池の様なモノだった。
様々な魔道具が生み出された。
魔石に魔法を記録し複合的に作用させる。
こちらが想定した以上の複雑な術式を生み出し使いこなす。
トライアンドエラー。繰り返され、継承される知識。
再現なく進化していく人類。
私はそれを・・・ただただ、見守る。
***
「まぁ〜た、帝国と王国が戦争してる」
私は天蓋付きベッドでゴロゴロしながら世界を覗き呟く。
「懲りないですねぇ。魔物もいるのに潰しあってて大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫じゃないですね。
知識を持つ魔物も創った。人と魔物の交配種も生まれた。
竜種は今も頂点に君臨し続けている。
それでも人は、人と争う。
前回の文明はとても高度な所までいった。
あの文明の魔道具はアーティファクトと呼ばれている。
でも、あの文明は、その高度な技術ゆえに崩壊した。
自然発生するマイノリティ。特異点。
それはまるで、組み込まれた自壊機能の様に人類を破壊する。
きっかけは様々。大切な人を守る為。復讐の為。探究心から。絶望から・・・。
人類は繁栄と衰退を繰り返した。
私達三人は神様の真似事をしている。
この世界の人々にとっては私達が神様だ。
***
そんなある日、事件が起こった。それは突然のことでした。
1人の女性が、この世界に堕ちてきたのです。
「えええええぇぇぇ!?」
「誰です?知り合いですか?」
「出現の挙動にシステム外のルーチンが見られました」
この世界に突如として落ちてきた女性は、元の世界の人でした。
どうやら彼女は、他人の能力に干渉するスキルを持ってしまっていた様です。
しかし、それは不十分な力でした。
彼女はもう・・・元の世界には戻れません。
私のスキル『
「ここはどこですか?」
辺りを見回す女性。
彼女の名前は・・・
『
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