第13話:悠生だけですよ、私を抱ける権利があるのは。

「悠生、この子大丈夫か?」


「あはは、人間じゃないから日本語の使い方間違ってるんだよ」

「だから、意味もわからず言ってるんだって・・・相手にするな」


「ね、悠生君のカノジョ〜、なんて名前?」


「ワイン」


「ワインちゃんか・・・」


「ねえ、お兄さん、早くセックスしようよ・・・」


「まだあんなこと言ってるけど・・・真に受けていいのかな?」

「やるよ俺、友達の彼女でも」


「おまえみたいな鬼畜がいるから性犯罪が減らないんだよ」


「だってセックスしたがってるし・・・」


「やめろ・・・俺の彼女に手を出すな・・・」


「なんかどこかで聞いたことあるようなセリフ」


「ノーマン・パナマ、ラリー・ゲルバート、ピーター・バーンズの、3人の

共同脚本を、 ノーマン・パナマが製作・監督したセックス・コメディ映画

の題名だよ」


「そうなんだ・・・そんなどうでもいいことよく知ってるな悠生」


「とにかく、この子はちよっと頭がこんがらがってるんだ」

「だからさ、なにを言い出すか分かんないんだよ」

「冗談だと思って聞き流してといてくれ」


悠生君は適当な言い訳をした。


「そんなのはどうでもよくて、こんな可愛い子、前にしてやりたくない

男なんていないだろう? 」

「あ〜想像しただけで発射しそうだよ」


「女の子の前でそう言う低レベルな発言するな」


「悠生、一晩でいいから、この子貸してくれない?」


「貸すとか貸さないとかワインをモノみたいに言うなって・・・」

「漫画じゃないんだぞ、それになんで自分の彼女をおまえなんかに貸さなきゃ

いけないんだよ 」


「私、セックスできるなら貸し出されてあげてもいいですけどぉ〜」


「ほら彼女ちゃんも、ああ言ってるし・・・」


「ワインは余計なこと言わなくていいんだよ」

「だから、おまえも彼女の言ってることを真に受けるなって」

「ああいうのは日常茶飯事で俺にもよく言うんだから」

「ほら、漫画返したら、もう用事ないだろ・・・帰った帰った」


「でもさ〜悠生おまえにはもったいないよな、この子」


「いいから帰れ・・・なにも言わず帰れ」


「ってか、おまえこの子とまだやってないのか?、もしかして・・・」


「そんなこと、おまえに関係ないだろ」


「あ〜そうかまだやってないんだ?」

「そうだよな悠生、女ダメだもんな、あるわけないか?」


「そんなことないし・・・もう、とっくにやってるよ」


「お兄さん・・・悠生、嫌がってセックスしてくれないんです・・・」


「は〜なるほどね、おまえ見栄はって・・・」

「彼女が言ってることのほうが正解だな」


「もういいから、帰ってくれ」

「おまえに言われなくても、ちゃんとやるよ、そのためにコンドームだって

買ってきてるんだからさ」


そう言って悠生君は誇らしげに薬局のナイロン袋からコンドームを出して

吉岡君に見せた。


「そんなもん、使うのか?、おまえ・・・」

「楽しみが半減するだろ」


「だって妊娠させちゃマズいだろ」


「真面目だね、悠生は・・・」


「ま、ぜいぜい楽しめば・・・ってか、おまえ、まず先に女性アレルギー

克服しろよ」


「・・・・・」


「そんなトラウマ早く治して彼女ちゃん抱いてやらないと可哀相だぞ」

「ほったらかしにしてたら浮気されるぞ」


「おまえに言われなくても分かってるよ、もう帰れ」


「分かった、帰るわ・・・おまえと押し問答しててもしょうがないからな」

「どうも、お邪魔しました」

「ワインちゃん、また遊びに来るからね、ばいばい」


「お兄さん帰っちゃうの?」


「うん、漫画返しに来ただけだからさ・・・じゃ〜ね」


そう言って吉岡君は帰って行った。


「ふう、よりによって吉岡かよ」

「一番見られたくないヤツに見られて、一番知られたくないヤツに知られたな」

「あのさ、もう誰にでもセックスしようって言っちゃだめだからな」


「分かってます、全部冗談です・・・」

「悠性だけですよ、私を抱ける権利があるのは」


「権利?って、なんだよそれ」


「だから悠性がいつか女性アレルギーをめでたく克服したら、お祝いに

私とセックスできる権利をあげるって言ってるんです」


「なに、勝手にそんなこと決めてんの・・・」


「うん、まあいろいろありまして」

「好きになる人は一人って決めてるんです」


「へ〜、まあとにかく他の男に色目使わなきゃいいんだけどな」

「あ〜あ、俺の女性アレルギーなんとかならないかな・・・」


手に持ったコンドームを虚しく見つめる悠生君だった。


つづく。


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