誘惑だらけのニンフちゃん。(精霊は憂鬱をつれてやってくる)

猫野 尻尾

第1話:指輪から現れた女

【第9回カクヨムWeb小説コンテスト応募作品】



さてと・・・ニンフってのは神話などに登場する美しい女性で、不老長寿では

あるけれど不死ではなく男のエキスがないと干からびて死んでしまうって精霊

なんだそうです。


精霊にはいろんな種類がいて水の精霊や泉の精霊、木の精霊、花の精霊に草原

の精霊とにかく人間以外の生物に宿っていて神や人間誰とでもセックスをする。


つまりセックスしないと生きていけない存在のようです。

精霊の中には男性の精霊もいてシレイノスとかサティロスと言うらしい。


ちなみに女性の過剰性欲を意味するニンフォマニアという言葉の語源は

ニンフからきていると言われているそう。

いわゆるセックス依存症の女性たちのことです。



この物語の主人公 田口 悠生たぐち ゆうせい君は、現在20才、

現役の大学生。

身長は170センチそこそこ・・・で、なかなかのイケメン男子。


悠生君には考古学者の祖父がいて、その影響で考古学や歴史には多少の知識が

あった。

成績もよくイケメンな悠生君は大学では同級生の女子からも慕われていたが、

意に反して彼は女性アレルギーと言う厄介なトラウマを抱えていた。


アレルギーとは言え女性との会話は普通にできるんだが指一本でも触れると

たちまち身体中にジンマシンが出ると言う面倒くさい体質。

ハグなんかされた日には血圧上昇、動悸、息切れ、めまい、過呼吸の発作が

おきて下手するとアナフィラキシーショックで死んじゃうかもしれないのだ。


小学生の頃、近所に住んでいた根性の腐った年上の女に嫌がらせやいじめを

うけたことが原因で女性が苦手になったようだ。

男として女性が苦手って・・・もったいない話・・・僕なら死んだほうが

マシです。


さてある日、祖父から現地の土産だと言って悠生君のアパートに小包が

送られてきた。

早速、包を開けてみたらば、いかにも古そうな指輪がひとつ入っていた。


祖父は仕事で海外へ行くたびに悠生君に珍しいモノを現地から送って

くれていた。


祖父から送られた指輪は金属の中にエメラルド色の宝石が埋め込まれていて、

なぜか真ん中に小さな穴が空いてた。

とりあえず人差し指にはめてみて天井に向けて手を掲げてみた。


指輪なんてしたことは一度もなかっただけに、とてもお洒落な気分だった。

祖父からもらった指輪だから無くすと嫌だったので学校へ行く時だけ、

はずすつもりでいた。


で次の朝、悠生君は洗面所で顔を洗おうとして指輪をしていることをすっかり

忘れたまま水道から水を出して顔をバシャバシャ洗ってしまった。

とうぜん指輪も水に濡れるわけで・・・すると指輪の穴から水がピューって

吹き出したじゃないか?・・・噴水みたいに・・・。


悠生君が唖然としてる間に指輪からどんどん水が吹き出してそれはフローリング

に落ちてすぐに何かの形になりはじめた。


見ていると水は、少しづつ人の形に変わっていって完全に形になったモノを見て

悠生君は驚いて後ずさりした。

水から形になったのはひとりの女性だったからだ。

しかもスッポンポンだし・・つまり裸。


男ならフリチンって言うけど、女だから振るものがついてないから・・・

だからなんて言うんだろう?

・・・ヤラしい言葉になりそうだからやめておこう。


そんなバカなことを悠生君は考えてる間に水は完全な女になっていた。

髪は金髪?、瞳はグリーン?、肌は白くて?・・・どこからどう見ても

外人の女性?・・・なんだけど人間の女性とは違うオーラを放っていた。

おまけに、とびきりの美女ときたもんだ。

身長は悠生君と同じくらいか、少し低いくらい?


悠生君が祖父からもらった指輪はエレメンタルリング「精霊の指輪」

だったのだ。


人間と変わらない姿になった女を目の当たりにして悠生君は目のやり場に困った。

冒頭にも書いたが悠生君は女が苦手ときている。

触られただけで身体中にジンマシンができる体質なのだ。


女性の裸なんてエッチい動画以外、直接は見たことがなかったし・・・。

ちなみに女性アレルギーなのに、エッチいやつは見るんだって話だけど・・・。

女性アレルギーというだけで性欲は一人前にあるわけでセックスはできる

んだけど女性に触れられない。


まったくつまんない人生・・・そんなんで生きてる意味あるのか?って

思ってしまう。


「何が起きたんだよ」


「君はダレ?・・・なにもの?」


「てか、なんで指輪から女が出て来るんだよ?」

「まじで、おかしいだろ・・・ありえないだろ、こんなこと・・・」


悠生君の目の前の女は、大あくびをして両手を挙げて大きく背伸びをした。


「ふわ~~~~~~~~~ああ・・・あ」


「ここどこですか?」

「いつの時代?・・・見たことない景色なんですけどぉ〜・・・」

「なんか・・・私、ようやく出られたみたいですね、指輪から・・・」


「君だれ?」


「私?・・・私はフェラリスのワイン・・・」


つづく。


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