ペットロス
ハルパパ
第1話
あれから1年以上の月日が流れ、ようやく日常を取り戻すことが出来始めました。我が家の愛娘シーズー犬のハル(雌)が令和4年9月10日、23時19分3歳と3か月という若さで虹の橋を渡りました。人生56年間で最大級のショックを受け、茫然自失とはこのようなことを言うのでしょう。今でも何もやる気が起きず、今でもあなたの事ばかり考えています。ふと浮かんできます。秋の空の雲の形にあなたを探しています。
ハルを人生最後の犬としてご縁を頂き、「犬の十戒」を心に戒めてあなたの親として、十数年は一緒に暮らせるはずでした。これから多くの思い出づくりに旅行に行くはずでした。
今でも信じることができません。本当に突然の出来事で、今まで先代犬2匹の共に老衰で見守りながら覚悟を決めていたペットロスを経験しておりましたが、その経験を遥かに超えるペットロスの暗い闇の中に入っており、生気無くただただ時間が無意味に流れて行く日々が続いております。
しかしながら、独りぼっちで私たち以上に困惑し、つらく、悲しく、寂しく、苦しんだのはハル本人です。
あの小さな、小さなハルの命が、こんなにも大きく、大きく私たちを包み込んでいた、ありがたさや愛おしさや優しさや安らぎや平穏が当たり前のように。犬はかすがい、家庭に明るさや和をもたらしていましたが、疑いもしない、当然の、当たり前の日常が引き裂かれて、消えて行きました。
令和4年9月4日、日曜日の朝7:30いつもの散歩コースから帰って来て1時間くらいするとハルの犬相がいつもと違います。ハルの右瞼が腫れており、「何かに刺されたのかな?」と思いすぐに動物病院に行きました。
先生曰く、「虫か何かに刺されていますね」(何かわかりません)と注射して内服薬をもらい家に帰りました。3時間くらい経過し昼過ぎには腫れも引き、いつもの1匹で3匹いる元気なハルに戻り、安心しておりました。
それから、3日後の7日の深夜1時30分ころ突然苦しそうに嘔吐し始めました。元々胃腸の弱い子だったのですが、1時間おきに嘔吐が続きとても心配になりました。朝になれば落ち着くと思っておりましたが、ずっと続きペットシートから起き上がれないくらい衰弱をしており、動物病院が開くのを待っておりましたが、不運にもかかりつけの病院が休診で、願いを込めて何度も電話をしましたが通じず、仕方なくネットで調べた別の病院に行き診断をしてもらいました。
血液検査の結果腎臓の値がとても悪く、急性腎不全を起こしているとのことで、このままでは今日にでも亡くなってもおかしくないとのことでした。(初対面でとてもひどい事を言う先生だ)
頭の中が真っ白になり、何が起こっているのかも理解できませんでした。えっ、えっ、えっ?
応急処置をしてもらい処置内容をかかりつけの先生にとメモを頂き、帰宅をしましたが明日病院が開くまで成すすべもなく、途方に暮れていましたが一縷の望み、藁をもすがる思いで再度かかりつけの病院に電話をすると、奇跡的に話し中の音が鳴り、誰かいると思い何度かかけたら、女性の方が出られ、事情を説明すると先生にすぐに連絡をとってもらい診察を受けることが出来ました。
これで何とかなる。これで助かる。先生、お願いします。ほっと安堵しながら心の中でつぶやきました。
今までの出来事を説明し、今から入院させてもらい様子を見ますとのことで、帰宅しました。
何がいけなかったのか、思いつくのは数日前の虫刺され?まさか?散歩のコースなど思い返しても思いつくような事はなくただただ、ハル頑張ってとしか言いようがありませんでした。
翌日病院に面会に行くと、エリザベスをしたハルが看護師さんに連れられてやってきました。いつもなら飛びついてくるのですが、全く元気がありません。
先生が、「今日も血液検査をしたのですが、腎臓の値は昨日より悪く更に肝臓の値も悪くなっております。全身に黄疸もではじめました。」と言われ、愕然としました。どういう事?てっきり朗報が聞けると思っていただけに。先生、原因は何でしょうか?体内に何らかの毒素が入ったことが考えられます。先日の虫刺されも十分考えられますし、ブドウを食べたり、最近症例で多いのが、白い小さな毒キノコを食べても同じ症状が見られます。
生存確率はどうなのでしょうか?このままの治療ですと、生存率10%、一つ方法としてあるのが透析ですがそれでも50%で、この子に大きな負担もかかります。涙が溢れてきました。ハルの顔が滲んで見えます。現実ですか?夢ですか?涙でハルが見えません。パパさんママさんが泣いているのをハルは見ていたのでしょう。ごめんね、ごめんね、それしか言えません。
次の日も面会に行きましたが、涙が溢れるだけで言葉がでてきません。「ハル頑張って」
大好きなおもちゃを持っていきましたが、ハルの目はうつろで、とても苦しそうで、全く反応を示さない。何とか助けて下さい。神様お願いします。
でも何でこんな事に。自責の念に苛まれながら自問自答しますが、答えはでてきません。
ごめんね、ごめんね、ごめんね、ハル。
次の日も面会に行きましたが、言葉になりません。
「もうハル頑張らなくて良いからね。ごめんね、ごめんね、守ってあげられなくて」
「ありがとね、ありがとね ハル、ハル」人目を憚らず嗚咽しています。
その日の午後23時過ぎ病院から電話があり、ハルが亡くなった知らせがありました。すぐに支度し迎えに行き、「苦しむことなく眠るような最期でした」先生の言葉に少しすくわれましたが、まだぬくもりのあるハルの顔をなでながら、ごめんね、ありがとね、おうちに帰ろうねと病院を後にしました。
いつかは別れが来ることは分かっていますが、まさに青天の霹靂、予期もせずこんな日が来るなんて夢にも思いません。神様を恨み、虫を恨み でもハルは帰ってきません。
瞼を閉じれば、
飼い犬ではじめてしつけ教室に行ったやんちゃなハル
雪の日に2時間も大脱走したハル
駐車場に入れば、家の窓からしっぽを振りながら立ってこちらを見ているハル
二足歩行がとても上手だったハル
「グータッチ」と「ハルどっち」が得意だったハル
100均のおもちゃを鳴らすのが上手だったハル
公園をうれしそうに駆け回るハル
「待て、お手、お替り、コロン」忠実に愛想を振りまくハル
ママさんが買い物から帰ってくると、買い物カバンに頭を突っ込むハル
帰宅時に玄関に迎えに来るハル
ご飯を食べた後「ご飯食べた?」と言うと必ず舌をペロッとするハル
車に乗せると後部座席から運転席めがけピョンピョンするハル
散歩が大好きでテンションが上がりすぎ足やリードを噛むハル
寝る前に必ずおしっこに行くハル
夜中布団に潜り込んで体を擦り付けてくるハル
シャンプーの途中でブルブルをするハル
様々なハルが走馬灯のように駆け巡り、涙が出ます。
パパとママはあなたの事が大好きでした。あなたもパパとママの事が好きでした。
ハルちゃん、あなたは幸せでしたか?うちの子で良かったですか?
ただ眠っているような亡骸を丁寧になでながら、全身の毛を綺麗に整えながら、あなたに話しかけます。
ハルちゃん、ありがとう。とても短い間だったけど本当にありがとう。よく頑張ったね。
大好きだったおもちゃや、ごはんにおやつここに置いとくからね。
最後の夜を三人で過ごしました。
翌日、動物霊園で「ハル、バイバイね」と亡骸を抱きしめ最期のお別れをしたその深夜、家に来たばかりのあなたが寂しさのあまり階下から私を呼ぶ、あなたの鳴き声が私には確かに聞こえました。
パパさん、ママさん、どこ?わたしはここに居るよ。
ハルまたどこかで、逢いたいね。
この空虚感、喪失感はいつまでつづくのでしょうか?
元気が出るまでは、時間がかかりそうです。
ハルちゃん、ありがとう。今日も写真のあなたが、こちらを見ています。どうか、安らかに・・・
短い間でしたが、思い出をありがとう。
ペットロス ハルパパ @asuka10311965yasu
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