里帰り、おおいなる
くさかはる@五十音
第一章:凱旋
季節は初夏。
青く澄み渡った青空に、ところどころ小さな白い雲が申し訳程度に浮かんでいる。
七月も中旬をすぎようとするなか、
校舎のすぐ脇に林立する楓の木からは、今日も蝉の大合唱が聞こえてくる。その向こうにあるグラウンドでは、何年生だろうか、さきほどから笛の音に合わせて何週もぐるぐると白線の上を走っているのが目に入ってくる。
――どうしてこう、退屈なのだろう。
恵は思う。
毎日毎日毎日毎日、この千代田高校という箱の中に押し込められて、同じ机に座らせられて、同じ授業を受けさせられる。恵は参加していないが、部活をしている子たちは部活に精を出して、今日も明日も汗をかく。来年になれば受験に精を出して、そんな私の行きつく先は、いったいどこなのだろう。
多分、普通に大学に行って、普通に働いたりするんだろう。
それくらいは、分かる。
けど、それだけ?
私の人生、それだけなんだろうか。
もっと、こう、何か、胸躍ることが待ってはしないのだろうか。
こんな気だるい授業を受けるのではなく、もっと、こう、何か――。
遠く教室の中で、生徒が教師にあてられ発言する音がする。生徒は、ところどころつっかえながらも、なんとか答えようとしている。
彼の発言が終わるのを、教室中の生徒みなで、息を潜めて待っている。
次に当てられてはかなわないと、進み具合を確かめるべく、恵は手元の世界史の教科書に目を落とした。
どうしたって、こうして刻一刻が過ぎていき、毎日が過ぎていくしかないのだ。
急いだところで、それは本当にどうしようもないことで。
何度考えても同じところをどうどう巡りしているようで、恵はひとつ、大きなため息をついて、自分の思考を遮った。
すべてはこの無駄に暑い夏が悪いのだと、無理やり思い込むことにして。
授業が終わり、昼ご飯の時間がやってきた。
「今日はどこで食べる」
声をかけてきたのは同じクラスの矢野未来だ。
ショートカットがよく似合う、吹奏楽部のエースだ。
「屋上前は」
「いいね」
「いこいこ」
恵と未来は、葵や知世といった、いつもの他のメンバーにも声をかけて、皆で連れ立って屋上前の階段の踊り場へと移動した。
影になった、ひんやり冷たい床の上に、皆で輪になってあぐらをかく。スカートをはいているが、足がすべて隠れるので、誰もあぐらをかくことにためらいがない。
「いやーさっきの授業、危なかったー。全然分からなかったもん」
「私も。先生質問が難しすぎるっつーの」
「それな」
話題は先ほどの世界史の授業についてである。
「あー、この先ちゃんと授業についていけるんだろうか。来年受験じゃん」
「そっか、葵は受験か。私は就職だから関係なしー」
葵の方に向かい、知世は手を扇のようにぱたぱたさせてみせる。
「いいなー」
千代田高校は、市内でも中堅の高校で、進学校とそれ以外の高校とのちょうど中間に位置にしている。そのため、生徒も進学する者と就職する者でちょうど半々なのだった。
あと一年半もすれば、今ここにいるメンバーとも離れ離れになる。
恵には、どうもそのことが現実に思えない。いつまでも、このまま皆で笑い合っているような、そんな気がしてしまう。
「ねぇ、知ってる?
恵が、卵焼きに箸を伸ばした時だった。
話題を変えたのは知世である。
「え?久能元って、あの百年に一人っていう、この街が生んだ天才?」
すぐさま話題に飛びついたのは、頭の回転の速い未来である。
「そうそう。今度のお祭りの日に、帰ってくるんだって!」
「へぇ」
久能元――。
そういえば、恵も聞いたことがある。
十年ほど前、ものすごい頭のいい人がこの街から出たって。テレビにも何度か出演したことがあるとかないとかいう話だった。
「会えるかな」
なんとなく自然と口をついて出た言葉だった。
「ばっか、あんたなんか相手にするわけないでしょー。相手はT大卒で厚生労働省に勤めてるエリートだよ?」
「遠巻きに撮影するくらいならいいかなあ」
恵は卵焼きをやっと口に運ぶ。
「でも、なんで帰ってくるんだろ」
「知らなーい。どうでもいいけど、今度駅前にできた喫茶店さぁ――」
それから、話題は久能元を離れ、駅前にできた喫茶店へと移っていった。
この時はまだ、恵も他の友人たちも、夏休みをまたいでまで、自分たちが久能元につきまとうことになろうとは、思いもしていなかった。
ぽんっ、ぽんっ。
晴れ渡る青空に、白い煙が小さく広がった。
その煙は風に乗って、南から北へとゆっくりと流れてゆく。
「お母さん、花火があがったよー」
階下の母にそう告げると、美晴は勢いよくベッドから起き上がった。反動で、寝るときいつも抱いている白熊のぬいぐるみがベッドから転げ落ちる。それを元に戻してから、美晴は元気よく階段を下りてゆく。
今日は待ちに待った祭りの日である。
美晴の住むこの千代田市では、この日ばかりは学校も会社も早く終わり、皆で準備をして祭りにのぞむ。祭りが近づくにつれ徐々にボルテージをあげていた街のテンションが、一気にはじける日であった。
祭りだ祭りっ。
美晴は洗面所にたどり着くと、いつもより丁寧に髪の毛を櫛でとかす。
歯を磨くため、水道の蛇口をひねる。
「今日も畑に出るの?」
母親が、洗面所に顔を出して問う。
「うん、斎藤さんのおばあちゃんと約束してるから」
タオルで顔を拭きながら、美晴は答える。
今日も一番の笑顔で鏡にのぞんで、よしっと一息、気合を入れて洗面所を出る。
斎藤さんのおばあちゃんは、日課にしている近所の畑の手伝いで顔を合わせる、数少ない美晴の友人である。
「それでね、斎藤さんのおばあちゃんが、私に新しい畑をひとつ、任せてくれるんだって。うれしい。何作ろうかなぁ」
食パンをトースターに入れながら、美晴はコーヒーを飲む母親に向かって話しかける。
「ふうん、いいじゃない。これからの季節、何がいいのかしらね」
母は美晴の目をじっと見て、にっこりとほほ笑む。
「あとでスマホで調べてみるよ」
朝食を摂って身支度を整えれば、いつものリュックを背負ってスタンバイオーケー。いってきますと母親に一声かけてから、今日も美晴は朝から畑へ向かう。
実家のある一角を抜け、自転車で十分ほど走った住宅街の真ん中に、その畑はある。そのあたり一帯の地主さんが、土地を区画に分けて希望者に貸していると、いつだったか、母が言っていた。借り主は大半がお年寄りだけれど、中には若い夫婦もいたりして、休日ともなればちょっとしたにぎわいをみせる。美晴も、かろうじてそのにぎわいの中にいる一人だった。
「祭りだ祭りっ」
小さく口にしながら、美晴は畑へと道を急ぐ。
初夏の日差しが、美晴の上へと降り注ぐ。
「あっつ~」
美晴の乗る自転車は、滑るようにして畑へ、畑へと向かってゆく。
自転車を駐輪場に止めると、当の畑の中からにぎやかな声が聞こえてきた。斎藤さんのおばあちゃんが、同年代の畑仲間と語らっているのだ。
いつもの見慣れた光景に、美晴は目を細める。
腰の曲がった同年代の畑仲間の中にあって、斎藤さんは一人、腰が伸びてしゃんとしている。
今日も皆の中にあって、何やらまくし立てているらしい。
「おはようございます」
挨拶をして、敷地の中へ入ってゆく。
「おはよう、美晴ちゃん」
斎藤さんたちが挨拶を返してくれる。
いつもの光景、いつもの挨拶だ。
だが、この光景がいつまでも続くわけではない。
畑に一歩足を踏み入れ、斎藤さんたちと挨拶を交わすたびに、美晴はどうしようもない思考にとらわれる。
目の前の植物と同じように、いずれは皆、その命をまっとうして死んでゆく。
斎藤さんたちと触れ合うことが増えて以来、美晴は自分の老後を漠然と想像することが増えていた。
今はみんなが生きているからいいけれど、この先、年上の人たちはおそらく自分より早く死んでゆく。
そうすると、自分の人生はどうなっていくんだろう。
目の前では、朝顔、ナスやキュウリ、トマトの苗木が、競うようにして葉を天に伸ばしている。
畑の植物たちを眺めながら、美晴はひとり、ため息をもらすのだった。
斎藤良太が若社長を勤める「斎藤酒店」は、創業百年を迎える老舗の酒屋である。
従業員は十名と少ないが、この街では一等大きな酒屋である。
その酒店の社員は、今朝から総出で祭りの準備に追われていた。狭い車庫の中に、中二階にも及ぶ大きな山車が用意され、いまかいまかと出番を待ちわびている。
今はちょうど山車の装飾が行われており、金銀の柱の上に、かわいらしい細工が飾られているところであった。
昼食を終えたばかりの良太は、午後に入り、山車の装飾に使う草花を手に入れるため、近所の畑へと出張っていた。
社用車の白い軽トラックを、畑の脇に設けられた駐車場に止める。
それを見やって、畑の中からひときわ大きな声が響いた。
「良太、良太。早かったねえ」
斎藤良太の母親、セツである。
「山車に使う草や花を取りに来たんだよ」
「ああ、それね」
セツが、畑に併設されている納屋でごそごそし始める。かと思うと、しばらくして立派な柏の枝と豪華な花束を差し出してきた。
「ありがとう」
受け取りながら、良太が言う。
言いながら、見ると生い茂る青菜の中で、セツの後ろで四十代と思しき女性が、こちらを見ながらほほ笑んでいる。
「あの人は?」
良太は好奇心から聞いてみた。
同年代の知り合いには見ない顔だったからである。
「ああ、吉田美晴さん。畑を手伝ってくれてるのよ」
「へぇ」
そう答えたとたん、美晴と目が合う。
「どうも」
「どうも」
お互いにバツが悪くなり、下手な挨拶を交わす。
笑うと美晴のえくぼがぽこんとへこんだ。
良太はくすりと笑う。
それを見て、セツが言った。
「あんた、美晴ちゃんは駄目だからね。心の病気抱えてるから」
良太の顔が一瞬にして引きつった。
「心の病気って、何よ」
小声で母に尋ねる。
「私も詳しくは知らないけど、精神病院に行ってるって。見た人がいるって。だから朝から畑に来て働いていないわけよ。いい子なんだけどねぇ」
「へぇ」
良太はわけもなく答えた。
「見た目は普通のおばさんだけど、見た目じゃ分らんね。こわいね」
そう付け足し、手にした草花を大事そうに抱え、良太は再び軽トラに乗って戻っていった。
「こわいね」
そう美晴に聞こえていたのを、良太もセツも知らなかった。
学校を早く終えた学生が、徐々に街の中心部にある大広場に集まり始めた。
それを皮切りに、一旦家に引っ込んでいた主婦層が外に出始める。
それを見て、的屋の津野一平は、「そろそろ店を広げるぞ」と周囲に吹いてから、自分の店を設置しはじめた。
あたりは徐々に薄暗くなり始め、ぽつぽつと着きだす提灯が、祭りの雰囲気を盛り上げる。
一平の店は、たこ焼き屋である。
初夏を迎えたこの季節、火を使う飲食系の的屋は体力勝負である。しかし学生の頃から柔道でならしている一平は、体力に自信があり、的屋仲間のうちでもそれは知られているのだった。
「お兄さん、たこ焼きふたつ」
「あいよっ」
体格のいい一平が怖くないのか、小学生と思しき集団から声がかかった。見ると浴衣を着たカップルがこちらを見つめている。三世帯の家族連れと思しき集団もこちらを見つめている。
これは幸先いいぞ。
一平はそう感じ、いつも以上に声を張り上げるのだった。
「いらっしゃい、おいしいたこ焼きはいかがでしょうか」
辺りはとっぷりと暗くなり、一平のたこ焼き屋の客足がピークを迎えていた頃合いであった。
広場を十字に区切った的屋の東の端から、人の流れが変わるような出来事が起こり始めた。いや、厳密には、ある一人の人物の登場により、人の波が割れていった、と形容した方が正しい。
その人物の名は、久能元といった。
「ねえ、あれ、久能元じゃない?写真が送られてきたやつ」
「ほんとだ。わー本物だ。マジもんの官僚。ナマ官僚だ」
「顔普通だね。歩いてる姿はその辺のサラリーマンと変わらないじゃん」
そう言いながら、久能元の周囲でスマホをかざす人々が群れを成しているのだった。
スマホには、遠巻きに撮影された紺のスーツを着た久能元の姿が映し出される。
当の久能元の歩調は、にぶい。
周囲を人で覆われているので、当然といえば当然であった。
細身の体でそれでも堂々と胸を張り練り歩く姿は貴公子然としており、群衆から黄色い歓声を誘っている。
元はこの街では既に有名人となっていた。
本人は、それを知ってか知らずか、誰も連れずにひとりぶらぶら的屋の中を歩いてゆく。
人の流れが変わったのを見て、一平が的屋の仲間にたずねた。
「なんだなんだ、喧嘩か事故か、有名人か」
的屋の仲間は、そばにいた友人に答えを聞いて返す。
「なんでも、この街から出た天才官僚が帰省してるんだとよ。名前は久能元だとか」
それを聞いた途端、一平の全身の毛が逆立った。
一平の最終学歴は中学である。両親も的屋で、一平の学歴に関して、二人は無関心であった。だから勉強もせずに遊んで暮らしていたら、高校入学ができずに、仕方なく的屋を継いだのであった。それでも一平は、毎日ニュースを見るのを欠かさなかった。世の中の流れを把握することをおろそかにしなかった。そして、今は、世の中を動かしているのが官僚だということを知っている。つまり、今の生活が苦しいのは、官僚のせいだと知っているのであった。
「官僚、だと」
一平のそばを久能元が通り過ぎる。
二人の目が合う。
その瞬間、周囲の喧騒はかき消え、時が止まったかのようであった。
一平は、思い切り気分の悪くなるようなしかめ面を、久能元に向けてやった。
ざまあみろ、お前たち官僚はこれでもくらっとけ。
そう念じてのしかめ面だった。
それを見ての久能元の反応はといえば、淡白なものだった。ふうん、君、僕にそんな顔をするんだ、とでも言いたげな、いかにもすました顔をしていた。
「おい、あいつの年齢は?」
一平は的屋の仲間に尋ねた。
「三十二だってよ」
三十二歳――。
俺と同じじゃねえかよ!
一平は、おもしろくなさそうに、たこ焼きを焼く台を小さく蹴飛ばすのだった。
繁華街の一角にあるバー「和心」のドアが開く。
からんころんと、入り口のカウベルが鈍い音を立てる。
「いらっしゃい」
マスターの小川俊一郎が挨拶をして客の方に目をやる。
入店したばかりの客の顔を見やって、俊一郎の顔がやわらかく崩れる。
「いらっしゃい、元」
そこには、久能元が立っていた。
十年以上の年月を経て、お互いに少々ふけたようである。俊一郎は結婚して一児の父である。元は、どうなのだろうか、聞いてみないことには分からない。
俊一郎と元は、高校の同期である。理系に進んだ二人は、受験勉強の時に学年の一位二位を争った仲でもあった。
「ずいぶんと久しぶりだな」
「十年は会ってないもんなぁ」
カウンター席に腰かけた元の手元に、俊一郎は灰皿とコースターを差し出す。
「どうしてた」
店内の他の客は、テーブル席にカップルが二組だけだ。俊一郎は彼らに聞こえないように、ささやくように、けれども十年分の親しみを込めて元に問いかけた。
「別に。仕事して、呑んで、仕事して、食べて、眠って、仕事してる感じ」
およそ官僚らしくないその答えに、俊一郎はふっと鼻で笑う。
「相変わらずだな」
学生の頃も、元は何かたずねると、いつもこうしてはぐらかしたものだった。
クラフトビール、と元から注文を受けて、俊一郎はグラスを用意する。
瓶のふたを栓抜きで開けながら元の様子を盗み見ると、どこか上の空である。
「どうした、うかない顔をして」
ビールをグラスに注ぎながらたずねてみる。
「どうもこうもないよ。なんなんだろうね、この街は。僕は珍獣か何かか。気分が悪いったらない」
シャツの腕をまくり顔の前で手を組んだ元は、心底うんざりした様子である。
「仕方ないよ、街が生んだ百年に一度の天才っていう触れ込みだから」
「なんだ、そりゃ」
元はその噂をここで初めて知ったようだった。苦い面を作る。
「知らぬは本人ばかりなり、か」
俊一郎はそう言って、元が注文したクラフトビールを差し出す。
元はそれに一口、二口、口をつけると、堰を切ったように語りだした。
「僕が頭がいいのは僕のせいじゃない。生まれつきなんだ。努力は後天的なものだし、就職できたのは運だってある。普通に生きている人間だぞ、僕も。それを無遠慮にスマホでパシャパシャ撮りやがって……」
それが皮切りだった。
「おやおや、これは大変だ」
酒の量はどんどん増えていく。元の愚痴は尽きることなく続いた。
数時間は経ったろうか、俊一郎は、懐かしい旧友のそんな姿をほほえましく眺めていた。
相変わらずカウンターでくだを巻いていた元が、五杯目のウイスキーを口にした時である。
「こんな街、そのうちすぐに無くなるのにな」
これでもかと愚痴を吐いた末に、元の口からぽろりとこぼれたその一節を、俊一郎は聞き逃さなかった。
――なんの話だ?
しかし俊一郎は、あえて問いただしたりはしない。ここは接客経験の長い俊一郎の勘だったが、こういう場合は、問いただすと逆に口を閉ざしてしまうから、しゃべらせた方がよいのだった。
「へぇ。なんで?」
それとなく誘導してみる。
「そりゃあ、あれよ。五年後に大合併があるっしょ。『令和の大合併』。それでこの市も無くなるって寸法よ。俊一郎君、知らなかったの。あ、これ、極秘情報だった。やべえ」
呂律の不確かな口調で、元は語った。
対する俊一郎の顔はしびれたように動かない。
大合併だと?
極秘情報?国の、極秘情報――?
元に勧められて何杯か酒をくらった俊一郎の頭が、瞬時に目覚める。
五年後に大合併、うちの街が無くなる――?
ここでも問いただしたい衝動に駆られたが、もはや当の元が完全に酔いつぶれていたので、俊一郎はあえなく引き下がった。
これは、街の一大事ではないか。
それを自分だけが知ってしまった――。
店の客は一時間ほど前から元だけである。
俊一郎は既に閉店の準備を終えていた。
外では祭り後の酔っ払いたちの声が、夜の商店街に響いている。
カウンターからは元の気持ちよさそうな寝息が聞こえている。
照明を落としたほの暗い店内のなか、ひとり、俊一郎の胸だけが、早鐘を打つように響いていた。
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