9.キャッチボール


「ねぇ、ねぇ」


「何だ?」


「司さんの趣味って何?」


「趣味?う〜ん…………そうだな」


「あっ!ちょっと待って!!当てさせて?」


「へ?……………まぁ、別にいいけど」


「まずは雪かきでしょう?」


「いや、前も言ったが趣味じゃねぇから」


「次に私との会話でしょう?」


「それは毎日、雪がやってくるから、仕方なくだな」


「あとは…………キャッチボール!!」


「それに関しては全く、心当たりがない!!」


「ってことで今から私とキャッチボールをしよう!」


「は?何言って……………っと!!危なっ!!いきなり、ボールを投げてくるなよ!!」


「あはは!!キャッチボール、楽しいね!!」


「まだ一往復もしてねぇよ!!………………ん?お前、もしかして、キャッチボールがしたいが為にあんな遠回りな会話を?」


「早く投げてよ!!次は司さんの番だよ!!」


「ったく……………奇しくも昔、野球少年だった俺にキャッチボールの相手を頼むとはな………………いいか?ボールってのはこう投げるんだよ!!」


「お〜!!凄く早い!!」


「はぁ、はぁ、はぁ。どんなもんよ?次はもっと容赦しねぇぞ?」


「じゃあ、次は私ね〜?」


「はぁ、はぁ…………ん?そういえば、そこそこ強く投げたつもりだが、何であいつは簡単に取れたんだ?」


「そ〜れ!!」


「っ!?は、早いっ!!ぐふぉっ!?」


「あれ?司さん?お〜い!!」


たったの一往復半で地面へ倒れ込んだ司。次の日、彼は肩の酷使と打撲により、約半日もの間、まともに動くことができないのだった。



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