ホワイト・クリスマスの夜に出会った君は…全く聖属性ではなかった…
ALC
第1話ホワイト・クリスマスの魔法
師走を迎えて街は華やいだ雰囲気に包まれている。
街の至る所でイルミネーションの装飾作業をしている業者が目についたり。
カップルが聖夜はどの様に過ごそうかとにこやかな笑顔で会話をしている。
そんな中、僕はと言うと…。
絶賛恋人に振られたばかりだった。
久しぶりにデートをしようと待ち合わせ場所に着いた所で喧嘩になってしまったのだ。
たまたま電車が遅延しており30分程の遅刻をすると彼女は本気で怒り出した。
謝っても聞く耳を持ってくれない彼女に僕はどの様に対処すればよかったのだろうか。
「私とのデートなんて楽しみにしてなかったんでしょ…もう良い。別れましょう」
別れの言葉を一方的に残した彼女は電車に乗り帰路に就いてしまう。
残された僕は失意のどん底に落とされたまま駅のホームのベンチで腰掛けていた。
あの人…可哀想だな。
ただ電車が遅延していただけで、あんなにこっぴどく振られるなんて…。
でも…あの落ち込んだ姿…。
超絶そそるんですけど…♡
クリスマスまでに接点を持たないと…。
とりあえず今日から尾行してみないとね…♡
失意の中、帰宅をして元恋人にしっかりとした謝罪のチャットを送るのだが…。
彼女は既にブロックをしているようで一向に既読は付かないし連絡がつくこともなかった。
もう彼女とは完全に縁が切れたことを実感すると本日から孤独な日々は始まろうとしていた。
尾行の末に彼の住む場所を特定することが出来た。
彼は明らかに傷心中らしく素人の尾行だと言うのに気付くこともなかったようだ。
その日からいつ接点を持っても良いように下準備をしておくことを心に決める。
そして本日はクリスマス当日だ。
こんな短期間で恋人が出来るわけもなく。
不思議な出会いもあるわけがなかった。
仕事が終わった十九時に会社の外へ出ると街には雪がチラホラと降り始めていた。
「ホワイト・クリスマスかよ…独りだから嬉しくねぇ…」
独りごちると世の中のカップルを恨めしい表情で眺めながら帰路に就いた。
もう眼の前に自宅のマンションが見えかけた路地で一人の女性と遭遇する。
眼の前の女性は異国風の容姿をしており故郷が懐かしいのか空を見上げて雪を嬉しそうに眺めていた。
脇を通り過ぎようとした所でその女性は僕の方へと視線を向けた。
「こんばんは。ホワイト・クリスマスですね。嬉しいイベントの日に珍しい雪。今日は良いことありそうじゃないですか?」
急に見ず知らずの女性に話しかけられて少しの警戒心を抱きながら話を合わせた。
「そうですね。良いこと有りましたか?」
逆に質問をしてみると相手の女性は美しく微笑んで答えを返す。
「あなたに出会えたことですかね。なんて…クサ過ぎましたか…」
「いや…うん…」
どう答えたら良いのか分からずにモゴモゴとしていると相手はスマホを手にした。
はしゃぐように景色を写真に撮っているようで、その姿が何処か可愛らしく感じてしまう。
これもホワイト・クリスマスの魔法なのかもしれない。
「そうだ。これも何かの縁ですし…一緒に撮りませんか?」
「うん…そうだね…」
フレームに収まるようにおずおずと彼女の傍に寄る。
彼女は写真を何枚か撮ると僕にスマホを向けてくる。
「連絡先教えてください。そうじゃないとこの良い思い出の写真を共有できないじゃないですか」
「あ…うん。分かった」
スマホを取り出して流れるように連絡先を交換する。
「このまま食事でもどうです?」
そんな誘いの文句に僕はどう返事をすれば良いのだろうか…。
ここから聖なる夜に出会った異国の女性シルビアと僕こと
私は計画通り真田真央と知り合いになれたことに充実感を覚えている。
私の誘いに彼は頭を悩ませているようだ。
悩んでいる顔もたまらない…♡
もっと困らせたい…♡
もっといじめたい…♡
ゾクゾクとした感情を抑えきれぬまま表情に出そうになった時、私は無理矢理に自我を取り戻す。
シュッとした顔を無理に浮かべると相手に行動の是非を促すように振る舞う。
ここから私の性癖にドンピシャとハマった男性をどんな手を使ってでも落とす物語は始まろうとしていた。
真田真央の好感度
?/100
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます