ホワイトルーム

夏蜜柑

第1話


……え?


ここはどこだ……誰もいない。


気が付くと真っ白な空間に立っていた。


周りには何もない。

辺り一面、真っ白だった。


え? は?


ここ何処だ?


っていうか、どういうこと!?


真っ白……。


それでも部屋のようだと判別できたのは、うっすらと境界線のようなものが見えたからだった。


左右上下。縁には僅かにグレーがかった線が見え、試しに真っ直ぐ進み、境界線で囲われている四平の空間に手を伸ばした。


感触があった。弾力もある。

これ以上先には進めない。

それだけ分かれば十分だった。


天井までは……約2.5メートル。いや、3メートルぐらいあるかもしれない。

後ろの壁から前の壁までは……というか前後左右の壁、どれを”後ろの壁”にすればいいのかは分からない。

それでも一応、目の前に見えるのを”前の壁”として、振り返って目に入るものを”後ろの壁”とした場合、その広さは10メートル前後(多分)あるように感じられた。


にしてもこの空間の感じには何やら覚えが——


いやいや。

そんなことより、今はここが何処かを思い出そう。

そもそもどうしてこんなところにいるんだ?

記憶では確か——


あれ?

ひとつ、思い出した。

しかし思い出したひとつは同時に、混乱を招いた。


何故ならそれは、思い出せないことを思い出させたからだった。


そもそも自分は誰だ?

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