フェミVS連
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
矢野警部・・・警視庁警部。中津警部の友人。
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※2024年5月10日。『2024阿波踊り協賛』の受付が開始された。
徳島市阿波おどりは2024年8月11日〜15日開催される予定である。
『連』とは、阿波おどりを踊る団体のことである。
ある日。午前6時。目黒川。
地元住民が、ゴミ出しに行って、犬の散歩に出た時、犬が何かに向かって吠えている。
妙なものが浮いて移動しているのが見えた。しかも2個。異変を感じた住民の通報で、二体の水死体が発見、引き揚げられた。
午前9時。中津興信所。所長室兼会議室。
マルチディスプレイに中津警部が映っている。
「今朝、上がった、ご遺体だが、本庄弁護士からお前達に素行調査の依頼にあった、中込とおると、フェミで有名な『女性差別撲滅組合』の幹部、島根敦子と判明した。中込は、島根が所属する団体が、女性の漫画キャラクターのポスターの絵が阿波踊りみたいだと言ったことに端を発して、中込が激怒、名誉毀損で訴えていた、と本庄さんから聞いている。島根の団体が、本庄さん経由で素行調査を依頼したのに間違いないか?」
「そこまで分かってて、間違いないか?は無いだろ、兄貴。」
「形式的なものだ。今、録音されている。」「間違いありませーん。」
「了解した。取り敢えず、資料を送ってくれ。」「何で?」「何で?敵対する者同士が、仲良く心中するか?下手すると、ダークレインボーかエイラブが関係しているかも知れない。そういうことだ。」
「了解。午前中にメールで送るよ。」マルチディスプレイから中津警部が消えた。
「根津。準備して送ってくれ。高崎、泊。手分けして、ガイシャの関係者を当たろう。」
午後1時。中込邸。
高崎と公子が、到着すると、黄色いテープが張り巡らされていた。
「ご苦労さん。野次馬が多くてね。捜査妨害されちゃ、たまらんから、事件現場みたいにした。」と、高崎もよく知っている、矢野警部が言った。
「こちらは、お隣の草津さんだ。昨日、出掛ける前の中込さんに会ったらしい。」
「この人達も、刑事さんですか?」と尋ねる草津に、「ああ。今回は『合同捜査』なんだ。よろしく。」と「言って、矢野は中に入って行った。
「何時頃、話されたんですか?」「4時前かなあ。夕刊来る前だったから。急に帰宅出来なったら新聞頼みますね、と言って。ほら、そこの新聞受けに。2日分しか入らないから、溜ると、新聞配達が適当に投げ入れちゃうんでしょ。それで、溜っているようなら、取りだして、保管してあげるんです。」と、草津は新聞受けのビニール付き袋を指さした。
「成程。」と言って、高崎は白い手袋を嵌め、昨日の夕刊と今朝の朝刊を取り出して確認した。
「あ。何だろう?」と言って、公子が白い手袋を嵌めて手帳を取りだした。
高崎は、ざっと確認して「公ちゃん、矢野さんに。」と言って、手帳を公子に手渡しして、新聞を元に戻して、草津と世間話をした。
公子と矢野はすぐ出てきた。
「後は、鑑識に任せて、我々は引き揚げよう。あ。草津さん、ご協力ありがとうございました。」
高崎と公子は、矢野に習ってお辞儀をして、中込邸を後にした。
午後2時半。女性差別撲滅組合。
事務員と、代表の上条に、事情を聞いていた中津と泊は、スマホが鳴動したので、スマホを耳に当てた。
「上条さん、見て貰いたい写真があるんですが・・・。」と中津は上条に言った。
泊が、スマホを弄り、写真を上条に見せた。
「あなたの隣にいる人は、半グレの舞阪久ですよね。どういうご関係かな?今、手入れに向かっています。2人の始末を依頼しましたか?まさかねえ。売春斡旋業をやってる半グレと、オタクは無関係ですよねえ。『可哀想な女性の救済』の為の団体ですものねえ。」
午後5時。中津興信所。所長室兼会議室。
マルチディスプレイに中津警部が現れた。
「完落ちしたよ。中込は、ただの連じゃなかった。調査員だった。と言っても、お前達とご同業じゃない。独自の調査をして、週刊誌にネタを売ったり、脅したりする、通称ネズミというゴロツキ記者の類いだった。中込は、半グレの月山商事と女性差別撲滅組合の関係を調べていたんだ。そこへ、女性差別撲滅組合の島根が、漫画に難癖つけたので、自分は阿波踊りの参加者候補だから、と島根に近づいた。そして、口論になった時に、島根が中込を突き飛ばした。即死だ。上条は、月山に相談した。月山は、島根も殺して、心中に見せかける為に、目黒川に放り込んだ。棚ぼたの検挙に刑事達は大喜びだ。高崎君の拾った手帳に手掛かりは沢山あった。中込のPCのデータは消されていたが、アナログのバックアップを取ってあったんだ、中込は。危険を承知で出掛ける前に、隣人にヒントを残して行った。こんなところかな。」
「じゃ、ダークレインボーともエイラブ系とも関係無かったんだね,兄貴。」「そういうことだ。お手柄だった。でも、金一封は期待するなよ。お前らはプロだからな。」
画面から、中津警部は消えた。
中津は気がついた。もう誰もいない。時計を見ると、午後5時10分だった。
「優秀な興信所だよな、ウチは。」と、中津は呟いた。
―完―
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