忠治と省吾

@syougo-tyuuzi

第1話

 秋葉原の駅に向かいながら忠治は少しだけ振り向き気味に省吾に

「俺は自殺するくらいならレイプしたり殺したり盗んだりして死刑になるなぁ。」

とニヤけながら言う。省吾は周囲を気にして足を早め忠治に小声で言う。

「そうだろうなぁ。自殺するのはきっと、そのくらい追い込まれていても人に迷惑をかけたくない奴だろう。」

忠治はこの2つ年下の友人のこういう所が好きであった。温厚で優しく礼儀正しい。仏様のようだ。

「なるほどなぁ。じゃあ、俺みたいなのが人に迷惑をかけないためには追い込まれちゃいけないんだな。」

「そうだよ。逆に俺みたいなのは多少は傲慢になってもいいのかもな。」

少し会話がとぎれ秋葉原駅に着いた。掲示板を見て忠治は言う。

「あっ、人身事故だって。」

「糞が。」

鬼の形相で苛立つ省吾を目の当たりにして忠治は、

「十分に傲慢なんじゃないか。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る