第204話 お礼
「宇良さんは彼氏とか作らないの?」
「ふぇ?」
「圭太。今のご時世、異性にそういう事を聞くのもセクハラになるのよ」
「あ、こりゃ失敬」
「いや、私は全然気にしてないから大丈夫だよ!」
曽川君の結婚相談に乗った翌日。
家で相変わらず忙しく諸々の手続き書類やらにサインしたり、なんやりしてると、俺達と同じぐらいのスピードで仕事をこなしてる宇良さんを見てふと思った。
基本的にほぼ毎日一緒にいる宇良さんだけど、彼氏とか作らないのかなって。
俺達的には宇良さんがマネージャー兼、カメラマン兼、雑用係をやってくれてるのは非常に助かってる。………冷静に考えて物凄い仕事量だけど、それはさておき。
でも、ずっと俺達に付き合ってるせいで、プライベートの時間が全然ないんじゃないかなって思ったんだ。完全週休三日で働いてもらってる訳だけど、なんだかんだ休みの日も俺達の家に来て何かしらをやってる。
仕事っぽい事もすれば、俺達の母親ーズと遊んだり。最近話には出さないけど、犬猫のロイとレオのお世話なんかも率先してやってくれてる。
全然プライベートの時間が無いじゃんね。
「うーん、こんな事を幸せそうな二人に言うのもあれなんだけど…。彼氏彼女の関係は自分の事になると面倒の方が多そうって言うか…。そういう関係を外野から見てるのが楽しいって言うか…」
「なるほどね。琴乃の言いたい事は分かるわ」
「将来はどうか分からないけど、今は自分がそういうので楽しんでるのを想像出来ないかな…。二人の事をお手伝いしてるのが、今は何より楽しいもん」
「ふむふむ。そういうもんなのか」
俺達がなんだかんだ宇良さんにあれこれ頼むからプライベートを楽しむ時間が無いのかなと心配したけど、そういう事はなさげ?
宇良さんからは俺達に気を遣ってそういう事を言ってるようには見えないし。
「とはいえ、やっぱり宇良さんの仕事量は半端ないよな。もう何人か、手伝ってくれる人を探すべきか」
宇良さんの仕事量は俺達と変わらないもん。俺達は周りを振り回してる張本人だから、そのツケで忙しくなるのはある意味自業自得だけど、宇良さんはもう少し楽をさせてあげたい。
「俺達のマネージャーかぁ。結構機密というか、そういうのもある訳だし、相当信頼出来る人じゃないと任せられないよなぁ」
「そうね。いきなり外から雇って、よろしくお願いしますとはいかないわ」
そう考えるとやっぱり宇良さんとの巡り合わせって幸運だったよな。正直高校で初めて会った時は、俺達にとってここまで大きい存在になるとは思ってなかった。
当たり前のように大学を卒業してからも付いて来てくれてるけど、これは何かお礼の一つや二つしておくべきなんじゃないか?
でも宇良って、何をしたら喜んでくれるんだろうか? 高いモノをプレゼントとかしてもあんまり興味がなさそうだし…。
ふーむ………。あ、いい事考えた。俺達のファンを常々公言してくれてる宇良さんなら、これは喜んでくれるんじゃなかろうか。
よーし。そうと決まれば早速梓と相談だ。
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