閑話 手柄


 「おい、圭太よ。マジなのか?」


 「マジだよ。俺の目に狂いはない」


 とある日。俺は新米警察官の新田と神奈川県藤沢市に来ていた。目的は新田に手柄でもあげようかと。見た目はチャラ男なのに、真面目に頑張ってるみたいだし。


 ここにはかなり長い間逃げ続けてる指名手配犯が潜伏している。潜伏というか、堂々いるんだけど。まあ、それはさておき。


 回帰前はニュースを見て驚いたもんだ。病院で最後は自分の名前で死にたいとか言って、自首みたいな事をしたんだろ? あの時はニュースを見て心底呆れたもんだ。


 指名手配犯が起こした事件の当時に生きてた訳じゃないし情報でしか知らないけど、あれだけの事件を起こしておいて、最後は自分の名前で? 舐めてんのか。しかもすぐに死んだらしいし。まずは被害に遭った人や遺族に謝罪でしょうが。許す許さないはともかくね。


 まあ、大量の死傷者を出したのには関わってないっぽいけど、それはそれだろう。当時自分勝手なやつだなーと思ったのを覚えてる。


 で、この前、脳汁を出しに行く為に梓とパチンコに行った時、トイレ付近に指名手配犯の写真が貼ってあるのを見て、そういえばと思い出した訳だ。確かこの写真の隣の人もすぐに捕まったはずだけど、仙台のどこかという事しか覚えてない。


 でも藤沢市の方は、あの時滅茶苦茶ニュースになってたから。場所もある程度目星はついてる。


 丁度良く、知り合いに警察官がいて良かったぜ。まあ、新田は新米だけどパパはお偉いさんだから。部署とか色々あるだろうけど、この情報を上手い事使っておくれ。

 

 「で? 圭太はなんでそんな事を知ってるんだ?」


 「この前梓と遊びに来た時に見たんだよ。似てるなーと思って」


 「ふーん?」


 全然信じてなさそう。まあ、これで押し通させてもらうけどね。一応梓とこの近辺を歩いて、実証出来るようにはしておいた。


 神社巡り旅行と銘打って、江島神社に来たから。そのついでに藤沢市を歩き回りました。それで納得して下さい。


 因みにその梓は今日は来ていない。男だけの方が動きやすいかなと思って。


 「どう?」


 「確かに似てるっちゃ、似てる…か?」


 そんなこんなで指名手配犯の職場付近に到着。遠目から新田に確認してもらう。まあ、ちょっと分かりにくいよね。髭もじゃだし。


 新田が持って来ていた高そうなカメラで、バレないようにパシャパシャと写真を撮る。常日頃、盗撮に辟易してる俺が盗撮である。人の事言えないね。


 「一応この写真を親父に渡してデータ解析してもらうが…」


 「情報源は隠せるなら隠して欲しいな。まあ、無理なら言っても良いけど」


 「良いのか? あれが本物ならポスター通りの情報料が貰えるぞ?」


 「いらんいらん。お金はすぐ稼げるし」


 「かーっ! 稼いでる奴は違うねぇ」


 「警察官って給料安いよな。上に行けばまた違うんだろうけど。嫌われ者になる事が多いのに割に合わん」


 俺はもっと給料を上げても良いと思うけどね。勿論腐った人間もいるだろうし、上層部は魔境だなんて聞くけど、自衛隊や消防士と同じで国を守ってくれてるんだから。


 ちゃんと働いてる人には報いて欲しいなって思います。まあ、無理なんだろうけど。後2.3年もしたら、警察のあれこれがネットに溢れかえるからなぁ。




 それからしばらくして。件の指名手配犯は捕まった。色々内密に調査して、本人だと踏んだらしい。回帰前は情報を搾り取る前にすぐに死んじゃったみたいだが、今回は多分大丈夫だろう。


 情報源は匿名での通報って事で、新田のパパは処理してくれたらしい。後日、個人的にお礼は言われたが。勿論、金銭が発生しない純粋なお礼だよ? 俺も金欲しさにやった訳じゃないしね。



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 こういう話って書いて良いんですかねぇ。ダメそうなら消しますね、はい。

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