第141話 ロイとレオ


 「ロイー、レオー」


 名前を呼ぶと二匹ともてってけと走ってやってくる。まだ家に来て、そんなに経ってないのに、既に自分の名前を理解している様子。交感にはこっちの事もなんとなく伝える事が出来るっぽいんだよね。躾とかもしっかり出来そうだ。


 犬のコーギーがロイ。

 猫のベンガルがレオ。


 両方ともオスで、仲良くしてくれるか不安だったけど、一緒に家の中を探検して楽しそうにやってるように見える。


 母親ーズはさっきまで二匹のストレスにならないように着いて回って、写真をパシャパシャやってる。


 「きゃわわ」


 「愛くるしいわね」


 子犬子猫状態二匹とじゃつくと、思わず頬が緩む。マジで可愛い。これがアニマルセラピー。恐るべしだぜ。


 「とりあえずあれだな。間違いなく掃除は大変になるな」


 「そうね」


 抜け毛とかやばそうだもん。服とかも気を付けないと。コロコロ必須だな。


 「本格的にお手伝いさんが必要になるか」


 「そうね。週に一回の業者だけじゃ、手が回らなくなるわ。業者を呼ぶ回数を増やすか、雇うしかないわね」


 何回も業者さんが来るのはロイとレオのストレスになりそうだなぁ。かと言って、雇うのも中々。これは信頼関係とかも必要だし。


 母さん達とよく話し合わないとね。

 俺達より接する事が多くなりそうだし。


 「わぅ」


 「んなーお」


 はぁ。可愛い。





 「へぇー、とうとう飼ったんだ?」


 「うん。可愛くて仕方ない」

 

 大学にて。

 宇良さんと梓と講義を受けながら、たくさん撮った写真を見せて自慢する。我が子自慢である。


 「良いなぁ。私が住んでる所はペットダメなんだよね」


 宇良さんが住んでるのは東大から近くのマンション。セキュリティもしっかりしてて、女性の一人暮らしでも安心出来るところなんだけど、ペットはダメみたいだ。


 「もう少ししたら遊びに来てよ。今はまだ家に慣れてないから、あれだけど」


 「楽しみにしてるね」


 家に人を呼ぶまでにある程度の躾はしっかりしておかないとな。嬉ションなんかしたら目も当てられん。





 大学で講義を受けて、たまにサークルに顔を出しつつ、家でロイとレオの躾を頑張ってると、アパレルの方で進展があった。


 俺と梓はデザイン案を出してるだけで、後はほぼ丸投げ状態だけど、サブちゃんや、宇良さんが紹介してくれる人が優秀すぎて、とんとん拍子で話が進んでいる。


 もう少ししたら、モノが出来上がるらしい。俺達はそれを着て盗撮されれば良いって寸法よ。


 「それにしても盗撮被害は減らんな」


 「悪用してる人がいないのがなんとも言えないのよね。まあ、私達が知らないところで変な使われ方をしてるのかもしれないけど」


 撮られてるなってのは分かる。

 でも主要なSNSを見ても、特に悪用されてる感じはないんだよね。写真をあげてる人はいるけど、それもなんかラッキーアイテムみたいな扱い方をしてる。


 やっと見れた、これで勝つる。みたいな。

 俺達の写真を撮ってもご利益は何もないんだが。


 普通に犯罪だけど、もう本当にキリがない。

 被害が出てるかって言われたら、煩わしいってだけで、微妙だし。


 気にする人は気にするんだろうけど、俺達はチヤホヤされたい俗物なので。その程度なら良いかって、ほぼ諦め状態。


 被害が出る前に手を打った方が良いのかね? 変に民度が良いのか、俺達に突撃してくる奴はいないんだよねぇ。そこを守れるなら盗撮するなよな。


 とりあえず宣伝として使わせてもらうけど。

 

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