第90話 センター試験


 「今までで一番伸びが良いな」


 「そうね。色んな所で宣伝されてるわ」


 あけおめ。ことよろ。2013年になりました。今年は東京オリンピックが開催される事が決まったり、アベノミクスが云々、消費税が上がる事が決まったりと。


 それなりに世間を賑わすニュースが多い印象。東京オリンピックは延期になるんだけど。あのウイルスさんはねぇ。俺達が今から本気で対応したらなんとかなりそうな気もする。大学でそっち方面に進んで研究したら。


 学力100さんはそれぐらい凄いからね。

 まあ、被害にあった方には申し訳ないが、やる気はない。色々面倒になるのは確実だし。厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだ。



 で、正月も三が日が過ぎて、いつものカラオケにて。梓とセンター試験に向けて勉強しながら、元旦にアップした動画について話す。


 「やっぱり違いは分かるもんなんだな」


 「スキル様々ね」


 それな。コメント欄には自称有識者さんが訳知り顔で解説したりしてる。

 俺達は気持ちよく歌ってるだけなんだけど、有識者さんによると凄い技術を使ってるらしい。へー。俺達って凄かったんだなぁ。


 スキルに頼り切りで気にしてなかったや。歌うのは好きだけど、配信者としてチヤホヤされる為のモノって割り切っちゃってるからね。真剣に歌に向き合ってる人達には申し訳ない。


 「次は英語の歌とかにしてみる? 海外コメントも多いし」


 「そうね。日本語字幕もつければ、そんなに困る事もないでしょう」


 学力100さんが影響してるのか、俺達は英語はペラペラである。学校にいる米国の英語の先生から発音も文句なしの評価も頂いてる。

 どうやって勉強したか聞かれたので、海外ドラマを見て勉強しましたって言っておいた。あれ、マジで勉強になるからな。


 「大半の日本人は英語の歌詞なんて気にしないだろうし。ノリノリになれれば良いんだ」


 「それもそうね」


 回帰前の俺がそうだった。なんかよく分からんけど、リズムとかその辺がマッチすれば歌詞なんてどうでも良かったんだ。バラードも同じく。絶対そういう人いるよね?


 「そういえば引っ越ししたらこのカラオケに来なくなるな」


 「そうね…」


 回帰してから週3以上は来ていたこの場所。

 店主の初老の人とも仲良くなって、かなり居心地がいい場所なんだ。

 この部屋とか俺達の為に空けておいてくれてるまである。まぁ、ジャンカ◯とかみたいに、チェーン店じゃないから、そこまで人気って場所じゃないんだけど。


 「引っ越す前には挨拶して行かないとな」


 「そうね。本当にお世話になったわ」


 顔出しするようになったら宣伝しようかな。俺達が育った場所的な。

 忙しくなったりしたら迷惑かな? 程良い客入りの方がやりやすいかもしれないし。





 「うー。緊張するね」


 「大丈夫大丈夫。これが本番って訳じゃないんだし、気軽にいこうぜ」


 センター試験当日。

 土日の二日間かけて行われる。

 曽川君は中々緊張してるらしい。

 そこまで緊張しなくても曽川君の成績なら大丈夫だと思うけど。それでも緊張しちゃうのが人間ってやつですよね。



 試験会場独特のピリついた雰囲気。

 それを感じながら試験を受ける。

 監督してる人暇そうだなぁ。



 「どうだった?」


 「いつも通り。解けなかった問題は無かったわね」


 で、なんやかんやあって試験終了。

 俺と梓は長時間拘束されてだるいな程度だが、曽川君は魂が抜けそうな程疲弊していた。やっぱり普通はこうなるよなぁ。


 俺達は学力100さんにお願いしますって感じだから、特に疲れる事はない。一応勉強も毎日2.3時間はしてるけど、東大を目指してる人達からすると少ない勉強時間だろう。


 ほんとステータスボードさんには感謝ですよ。毎年初詣の時に感謝の気持ちを伝えてるけど、足りてるかしらん?

 

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