第81話 免許取得と始業式
夏休み終了ギリギリに四人とも免許を取得する事が出来た。俺と梓は学力100があるからね。
教本をほぼ丸覚えして余裕だったけど、母親ーズはそうはいかない。頭から煙が出るんじゃないかってぐらい憔悴している。
「この歳になって試験に追われるとは思ってなかったわ」
「お疲れ様です」
大人になったら試験とか資格以外はほとんどないもんねぇ。働いてたら、会社によっては昇進試験とかあるらしいけどね。うちの会社にそんなものないし。ってか、業務自体がないし。
「あんた達写真写りが抜群ね」
「美男美女なもんで」
俺と梓の免許証の写真を見てしみじみと呟く母さん。容姿は95ですゆえに。課金フェイスはすんごいだろう。大学入学までには100にしますよ。
「あなた達を産んだ私達が偉大って事ね!」
何故かドヤ顔する母親ーズ。
肩まで組んじゃって。仲よろしいですね。
まぁ、二人の言い分は間違っていない。
俺と梓は課金しなくても美男美女だったから。
課金して更に磨きが掛かっただけで。
二学期の始業式。
本格的に進学先も決まり始めて、更に三年生は部活を引退したりと、勉学に本腰を入れ始める人達が増えてきた。進学校だしね。
俺と梓も帰宅部としてインターホンを目指してたんだが。残念ながらあと一歩及ばず。
高校三年間努力したのにな。悔しいです。
「僕は青学の経営を目指す事にしたよ」
「ほほー。ん? 経営って文系じゃなかったっけ? しかも結構偏差値高かったような…」
夏休みが終わって一皮剥けた感じがする曽川君がとうとう進学校を決めたらしい。
大人の階段を登ったのかもしれん。
「僕はあんまり得意不得意がないし…。それに将来父さんの会社を継ぐなら、経営の事を学んでおいて損はないかなって」
「おおー。本格的に継ぐ気になったんだ」
一時は迷ってたのにね。
本当にしっかり覚悟を決めた様子。
素晴らしい。
「彩綾さんを幸せにするならやっぱり父さんの会社を継ぐのが一番かと思って」
「ひゅー!」
にへらと照れ臭そうに笑いながらも目は真剣だ。
女の為に頑張る男の娘。文字にしたら訳分かんねぇな。因みに彩綾さんは曽川君の彼女さんの名前ね。
「曽川君が受かるようにばっちりサポートしてやるぜ!!」
「それは嬉しいけど…。自分の勉強は大丈夫なの? 二人とも東大を受けるんだよね?」
わはははは!
その言葉を待っていた!
自慢したくて仕方なかったのだ!
「これを見てくれーい!」
「わっ! すっごい! 満点だ! これ、満点取れるように出来てるんだねぇ」
学校側に提出する為にも模試の結果が必要だったが、俺の本命は自慢する為だ。
しっかりと曽川君によいしょしてもらって、承認欲求を満たしていく。
「今はひたすら遡って過去問を解いてるところなんだよね。俺達に死角はないぜ」
「うわぁ! じゃあお言葉に甘えちゃおうかな!」
1990年ぐらいまでの過去問を解いてみた。
十月にまた模試も受ける予定だし、油断はしないぜ。
「彼女さんとは順調なんだな」
「うん! 夏休み前に両親にも紹介出来てね! あ、そういえばその時不思議な事があったなぁ。誰かがお会計を払ってくれてて--」
それは知ってる様な気がするな。
何せ下世話ながら尾行させて頂きましたから。
盗み聞きした罪滅ぼしをしましたね。
滅茶苦茶にっこにこで語る曽川君。相当彼女さんにお熱なんだねぇ。彼女さんも曽川君には性癖を破壊されてるかもしれんが。
その後も曽川くんの惚気をひたすら聞き続けた。
ラブラブそうでなにより。
熟練度なら俺と梓の方が上だけどな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます