第7話 ウハウハ


 第5Rは無念の見送り。

 反応がなけりゃ仕方ない。

 自分の予想で買ってみてもいいけどそれはまた今度だ。軍資金が豊富の時にやりましょう。


 「良く考えたら俺って40になるぐらいまでG1レース楽しめないよな」


 だって大体勝つ馬を知ってるんだもん。

 人気馬が出た重賞レースも楽しめない可能性がある。名前見たらこの馬が勝ったなって分かるし。


 「お金が増えるから良いけど。趣味が一つ減ったよね」


 何か新しいギャンブルを開拓せねば。

 ギャンブル中毒のヤニカスって救いようがないな。結婚してくれた梓には感謝だぜ。

 いや、中毒ではないけども。手を付けたらいけないお金には手を出した事ないし。


 「いや、今回は彼女の小遣いも持ってきてるのか。向こうから渡してきたとはいえ、まぁまぁクズの所業」


 喫煙所でブツブツと独り言を呟きながら溜め息を吐く。周りのおっさん達も似た様なもんだし、気にする人はいないけど。


 気を取り直して第6R。

 ビビッと反応はあるかどうか。

 ちなみに第5Rは自分なりに予想して外してた。センスねぇわ。賭けなくて良かった。


 「きたっ! えーっとこいつは…二番人気か!」


 パドックを食い入るように見つめていると、二番人気に強い反応が。今回は賭けるぜ!!

 その後も見ていたけど他に反応はなく。

 という事で、マークシートにいそいそと記入していく。


 「記入ミス無し。万が一外したら嫌だから2000円単勝にぶち込もう」


 何度も言うがメインレースは勝てるんだ。

 しかも三連単で。間違いなく万馬券になるからそこに注ぎ込みたい。

 今は注ぎ込む金額を増やす為に頑張ってる訳だな。


 「頼むぞ頼むぞー」


 祈るように競馬を見守る。

 単勝で4倍ちょっとあったから、勝てばほぼ軍資金が初期の手持ちの倍になる。

 手に力も入るってもんよ。


 「よし! よし! そのまま! いけ! 頑張れ川○!」


 第6Rはビビッと反応通り二番人気が一着へ。

 単勝4.6倍だったので9200円を獲得。


 「やっぱりこのスキルは本物だ。メインレースまでこの調子で増やしていこう」


 それからは怒涛の快進撃だ。

 一回だけ反応がなくて見送ったレースはあったものの、勝った金額のお札だけをそのまま次のレースに注ぎ込み、メインレースを迎える前に軍資金は45万円になっていた。


 「うひゃひゃひゃ! ボロ儲けだぜ!!」


 周りの目が気になるので、トイレの個室で黒い笑みを浮かべる。

 その間も手が止まる事はない。


 今は必死にマークシートを書き殴っているところだ。掲示板を見たら俺が買う予定の三連単は8万円ぐらいになるみたいなので、ちまちまと1000円ずつ馬券を購入する為に必死なのだ。


 100万円以上の払い出しになると、払い出し機ではお金を貰えない。

 そうなると受け取り窓口に行かないといけないわけで。もし俺が若そうって思われて年齢確認されたら一巻の終わりである。何度も払い出し機に向かうのは不自然だろうが、係員に会うよりはマシ。

 そう思って必死に書いている。


 のべ450枚書き終わって急いで馬券を購入。

 これが終われば約3600万が手に入る。

 払い出し機からの受け取りなら、銀行口座に入れなければバレる事はあるまい。

 しかもそのお金はステータスボードに放り込む予定なのである。

 これぞ完全犯罪!! ふはははは!

 (※良い子の皆んなは絶対に真似しないように)


 大量のお金を持ち帰る為にかなり大きめの鞄は持ってきてある。

 今回全部換金出来なくても、期限までに換金出来れば良し。

 450枚も同じ馬券を交換したら変に思われるかもだしな。場外売り場とかも回れば良かろう。


 そして運命のヴィクトリアマイル。

 俺が家で頭の中で出て来た映像通りにレースが進みしっかりと三連単をゲットした。


 「いや、ウオ○カ強すぎな」


 知ってたけども。七馬身って。これG1だぞ?

 ダイワスカーレッ○ちゃんが居なきゃこうなるのかね。


 「うへ、うへへへへ」


 3600万。3600万である。

 にやけるに決まってるじゃんかよ。


 逸る気持ちを抑えて不自然にならないように換金。持って来た鞄がパンパンになるまで何度も何度も換金した。

 後ろの人に高額を見られるのも嫌だったので、出てきたらすぐに裸で鞄の中にお札を放り込む。

 勿論小銭も一緒に。


 「12Rは無視したけどそのお陰でなんとか」


 なんと調子に乗って約3600万全部換金してしまった。これはやばい。今の所誰にも見られてる様子はないけどすぐに帰ろう。

 大金を持ったら挙動不審になるよね。俺はなんとかタクシー乗り場まで直行。

 そのまま我が家の最寄り駅までお願いする。


 (梓にメール送ろう。結果を心待ちにしてるだろうし。この鞄の中身を撮ってと)


 パシャリと写メを撮り一緒に送信。

 今は最寄り駅に向かってて早めに合流したい事を伝える。

 こんな大金怖くて持ってられない。

 早い事ステータスボードに突っ込んで安心したいんだよね。


 そして梓からの返信は早かった。

 『すぐ行く』

 これだけである。手慣れたもんだ。


 ステータスボードの何に投資するか良く考えないとな。二人で分けても1800万。

 端数は次の軍資金にしても充分だ。


 誰が何の為に過去に戻してくれたのかは知らないけど本当にありがとう。

 やりたい放題させてもらうね。


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 って事で今章は終了です。

 最初からフルスロットルで法を派手に犯しながらやりたい放題させました。

 作者は暇さえあればこんな妄想をしてるんですよね。神様過去に戻して下さい。


 次章は得たお金を使ってステータスを強化しつつ、学校生活にうつります。

 勿論、その間も競馬で荒稼ぎしますよ。

 現実で毎週こんな事やってれば目立ちそうですが…。そこは物語って事で一つお願いします。


 ではではまた次章で〜。



 

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