空を謳えば

蒼星 創

空を謳えば



 私は今日、空に殺される


 地上から、きれいな青空を見上げてそう思った。





 空から連想されるものは非常に多い。


 自由――空はとても広く、高く、開放的だから。

 夢――空はキャンバスのようで想像力をかき立てる存在であるから。

 平和――青々とした空や穏やかな雲の流れは心に平穏をもたらすから。

 飛翔――鳥はこの空を、どこまでも飛んで行けるから。


 どれもとてもポジティブなものだ。





 そんなキーワードに憧れを抱いたのが間違いだったんだ。






 空が近づいてくる。私は憧れを抱いたがため罰せられる。

 

 きっと太陽に近づき過ぎて堕ちたイカロスのように。




 


「そろそろ、飛びますよー。準備は良いですか?」

「いやぁあああああ」



 なぜ――私はスカイダイビングに参加してしまったのか?



「もう行っていいですよ。この子いつも直前で日和ひよるので」


 いっしょに参加してもらった友人が呆れ顔で情け容赦のない宣告をした。


「そうですか? それでは飛びますよ。 3,2,1――」

「うわぁあああああ」


 私は空に落ちた。

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空を謳えば 蒼星 創 @caissa

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