彼について質問したが 八日目 (十の日)
親愛なる我が従弟殿。
昨日の続きで、またオーリチについて書こうと思う。
……どこまで書いたかな。そう、彼の中に私への反感があるような気がした、という話だ。
そもそも彼は何者なのか。
どのような意図で猊下は彼を選ばれたのか。
猊下はしばし私の顔をご覧になられてから、静かにこう仰せられた。
「……お側に置かれる相手の素性に疑問を持たれるのが、少々遅いのでは?」
いったいいつお尋ねになられるのやらと思っておりました、とまで言われてしまった。
大人って厭だなぁと思ったことは、ここだけの秘密にしてほしい。
あらかじめ用意された罠に経験不足の標的(私のことだ)がかかるのを、虎視眈々と、けれど何食わぬ顔で待ち構えているのだから。
領地にいた頃、私の側近は母上や
けれどどちらもいない今、私は自分でやらなければならない。
そのことを猊下はお示しくださったわけなんだ。
とはいえ、有難く思う一方、はじめからそう言ってほしい、という気持ちが私の中で渦巻くのも止められなかった。
私は八つ当たりと紙一重の気持ちを飲み込んで、猊下の御前で自らの改善をバルサムに誓った。それでようやく猊下から本題の問いについて伺うことができたよ。
オーリチは名門ラングワート家の出身だった。
ラングワートは君も知っているよね? エールコスト侯の一族で、陛下に最も忠実であるとも謳われる一門だ。
当然、陛下に反旗を
猊下の庇護の
ところが、納得しかけた私に猊下はさらに仰ったんだ。
「貴方の中で勝手に結論づけてはなりません」
……それがどういうことだったのか。それから私が猊下に尋ねたもう一つの質問については、またの機会に書くことにするよ。
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