幼馴染の姫からの便り 四日目 (六の日)
親愛なる我が従弟殿。
今日は嬉しいことがあったので、そのことについて書くことにしたよ。
それというのも、隣国カンファーから私宛てに書簡と小さな荷が届いたんだ。誰からだろうと思ったら、母方の遠縁の姫、アルテミジアからだった。
君はきっと彼女のことは知らないと思うけど、私より二つ年上で、とても綺麗な亜麻色の髪の姫君なんだ。
ただ物凄く人見知りで――、ええと、彼女のことはまた別の機会に書こう。これだけで結構な長さになりそうだから。
今日書こうと思ったのは、その彼女から、私を見舞う手紙が届いたことと、一緒に
君は犬薔薇の実を見たことがあるだろうか。赤い色がとても美しいんだ。
乾燥させて煎じて飲むと
彼女は暇さえあればいつも本を読んでいるのだけれど、物語や詩集を手にしているところは見たことが無い。大抵、地誌や歴史書、薬学書に農学書、しまいには領地の戸籍台帳だの徴税帳簿だのを読み
だからとても物知りで、そんな彼女がわざわざ送ってくれたということは、きっとこの実には確かな薬効があるのだろうと思うよ。
この実を君にも送りたいけれど、口にするものはきっと無理だろうね。
君は元気で過ごしているのだろうか。
私には様子を知る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます