なにが賢者だっ!クソ喰らえ!!
四十万定六
第一章
第0話 夢幻か未来か
「すまなかったな、、、巻き込んじまって、、、」
全身傷だらけで、大剣を杖にするように縋りつき、ギリギリで立ち上がっている男が呟く。
その言葉は眼前に立つモノに向けたのではなく、男の後ろに立つ、三体の人だったモノへ向けられていた。
「サラ、使わせてもらうよ。」
男は腰に下げていた小袋から、小さな瓶を取り出すと、蓋を開けて一気に飲み干す。
玉虫色に怪しく輝く液体が喉を通り過ぎるや否や、男の体が光り輝く。
次の瞬間、光を残して男の体が消える。
「愛してる」
男の後ろにいた三体のうち、最も後方にいた修道女の格好をしたモノの後ろに現れる。修道女だったモノの腹から、さっきまで男が縋り付いていた大剣の刃が突き出していた。
「うおりゃああああああっ!」
男は涙を誤魔化すように、腹の底から叫び声を上げ、刃を真上へと切り上げる。
女だったモノの上半身が真っ二つに裂け、その美しかったであろう顔も両断される。
ドサリと倒れたモノは、まだ、その手足を震わせていたが、男がその首に大剣を叩きつけて切断すると、一際大きく全身を痙攣させて、動きを止めた。
男が動きを止める暇もなく、残りの2体が飛びかかる。2体の動きは、ただガムシャラに、全力で男に突撃し、最大の力で得物を叩き込むと言うものだった。
しかし、そんな攻撃など当たるはずもない。当たるわけがないのだ。
それすら分からなくなった、元仲間達の背後を取ると、左の一体の首を横薙ぎに切り飛ばす。そのまま倒れて動かなくなる。
もう一体がこちらを見もせずに、バトルアックスを振り回してくるが、それを軽くステップバックして空振りさせると、一息に懐へ飛び込んで、必殺の逆袈裟斬りを叩き込んだ。
吹き飛んだそいつの上半身が、まだバトルアックスを振ろうとするが、もはやジタバタしているだけだ。
男は悲痛な顔でそれを一瞥し、大剣を頭上に振りかぶった態勢で飛びかかり、もがいている上半身に叩きつけた。
そいつの頭が潰れ、動きを止める。
『レベルが上がりました』
頭の中に無機質な声が響く。
『オリジナルスキルを獲得しました』
長かった。この終わった世界を元に戻すためには、これしか無かった。
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