午後の授業にて

 午後の授業、五限目は係や委員会を決める時間。


 担任の高岩たかいわがまず取仕切る。


「まずは学級委員決めて、その後は学級委員に進行してもらおうかな」


 まだ入学して二日目、いくらクラスメイトとはいえ、ほとんどが話したこともない者同士だ。


 生徒の戸惑いの空気を感じ取ったのか、高岩はあっけらかんと言う。


「高校生だし大丈夫でしょ?」


 解決になってないような気もするが、そう言われれば大丈夫な気がする。


「はい、じゃあ学級委員やりたい人ー。二人までねー」


 高岩がそう言うが、手を上げる生徒は当然いない。


「困ったな……本当にいない?」


 もう一度確認を取るが、もちろん誰も手を上げない。


 そしてそれは想定内だったらしく、高岩は先に他の係や委員会を決めようと言う。


 要するに学級委員は余りもの、全てに負けた敗者のがする係となる。


「先生が聞いてくから手を挙げてね」


 その様子を見て菜々美ななみはどの係にしようかを考える。


 もちろん学級委員はやりたくない。だからといってやりたい係や委員会は無い。


 となれば人が少ないところで手を挙げるのがいいだろう。


 この負けられない勝負、菜々美は気を引き締めて挑むことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る