第3話 それで?2

見つめ合う二人。

数秒の沈黙に観客席が、再びざわめき出す。


「う、うぅ・・ん・・・」

利通が咳払いする。


だが。

隆盛は何の反応もせず、客席を真っすぐに見つめている。


「お、おいっ・・・」

裏返った声を出す利通。


「・・・・」

相変わらず無言の隆盛。


「た、隆盛ぃ・・・」

泣き声で呼ぶ利通。


「・・・・」

変わらず無言の隆盛。


「隆盛の意地悪っ・・・」

溜まらず駆けだそうとする利通の腕を取る隆盛。


「えぇっ・・・?」

驚いて振り向く利通。


「博文は元気で、ゴワスか・・・?」

「た、隆盛・・・」


真剣な眼差しに利通は口ごもってしまう。

欧米視察から帰国して数ヶ月。


二人の間に溝が出来てしまっていた。


「そ、そういう隆盛だって・・・」

利通が反撃に出る。


「か、薫とは・・・?」

言いかけた利通の唇を塞ごうとした瞬間。


二人は観客席に向かって叫んだのでした。


【BL(ビーエル)かっ!】


微妙にずれた声に。

客席はドッと、沸いたのでした。

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