巻き込まれおっさん、時々魔法少女
@supe_--
第1話
俺は高校の清掃員、名前は…いや41のおっさんの事なんて誰も興味ないだろう。
今日もいつもと変わらない日常、清掃員の詰所に向かうため廊下を歩いているとゴミが落ちているのを発見した。教室にある清掃道具を借りることにしロッカーを開けようとしていたら「遅刻ー遅刻ー」と、どすこい系生徒がこちらに向い走ってくる。
避けようとするも体型の目測を誤りぶつかってしまった俺はロッカーに入ってしまった。出ようとするも先程の生徒が真ん前の席らしくつかえて扉が開かない。これでは教室に潜む変質者と間違われてしまうと思い焦って扉をがちゃがちゃするも前方から
おにぎりうめぇー!という呑気な台詞が聞こえる。
どうしたものかと思っていると「きゃー!」だとか「何だよ!この光!?」とか生徒の騒ぎ声が聞こえてきたと同時に俺は気を失った。
ーーーーーー
暫くして目が覚めると石造りの倉庫のような場所で俺と生徒三十人程は寝ていたようだ。
次第に生徒達も目を覚ます者が現れ混乱が起き始める。そのざわめきで気付いたのか倉庫の扉が開かれるとローブを着た老人と甲冑を着た人間が十数人入ってきて槍を構える。
「お静かに、お前たちも槍を降ろしなさい。」
「状況を説明致しますのでわたくしどもについてきてくだされ。」
そう老人が言うと倉庫を出ていった。
「長谷川ちゃん、長谷川ちゃん!起きてー起きてよー…」
俺の足元で委員長風な生徒に揺らされるどすこい系生徒改めて長谷川ちゃんはまだ夢の中であった。
ーーーーーー
男子生徒に尻を蹴られることで全員が目を覚まし豪華な広間へと案内された。
「よくぞおいでくださいました。私は黄国筆頭巫女のアズサと申します。現在、魔王の侵攻を受けており対抗するため黄龍様の御力を借り皆様方をお呼び致しました。この世界に渡る際に皆様はステータスとや職業を授かり……」
ふむ、説明を聞くにRPGゲームやファンタジー物語の勇者ような役割を求められているらしい。
今は生徒達がステータス・職業とやらを書記官に騎士だ、風導師だのとはしゃぎながら伝えている。
生徒全員の記録が終わり俺も書記官の下に向うとギョッとした顔で見られる。
どうやら召喚されるのは高校生程度の若者が三十名との事で人数オーバーのおっさんがいた事に驚いたらしい。
それでも何かしらの職業を授かっているだろうとステータスを伝える事になった。
「ステータスオープン」
ーーーーーー
出席番号:ERROR
名前:
職業:清掃員
HP:D
MP:C
STR:E
INT:D
VIT:E
DEX:F
AGL:G
スキル:変身(少女)
ーーーーーー
出席番号が無いのは分かるがスキルが意味不明だ。なのでそれら以外を伝えると生徒達に笑いが起きる。
「職業清掃員って戦えるの?」「ステータス雑魚過ぎね」「てかあのおっさん誰だよ?学校の用務員?」「お腹空いた」「スキルない人っているんだねー」
生徒達は如何にも戦闘向き、サポート向きな職業にステータスもSからDだったので笑われるのも仕方のない事だろう。
書記官もそこらの一般市民以下ではないか、とまた驚いていた。
俺には用は無いだろうと元の世界に戻してくれと言うも無理との事で支度金の金貨3枚を貰いこの場を離れることにした。
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