第16話 side桜餅 セカンドパートナー?!

「ちょっと待て!そもそも、セカンドパートナーって何なんだよ」

「あぁーー。それから知らないんだな。わかった、わかった。説明してやるよ」



蔵前は、めんどくさそうな表情を浮かべてから話し出す。

セカンドパートナーとは、恋愛感情があったとしても不貞を働かない関係らしい。

抱き締めたり、手を繋ぐなどのプラトニックな関係を求める人が多く。

精神的な繋がりを重視するらしい。

キスやハグなどは不貞行為にならないからとそこまではする人もいるらしい

ただ、中には胸を触ったり舐め合ったりなどという性的行為に繋がるギリギリラインを責める人も存在するらしい。



「まっ、俺の場合は肉体関係有り気だけどね」

「それは、完全に不倫じゃねーーかよ」

「そうだよ。別に俺はいいんだよ。今の奥さんにはセカンドパートナーの話はしたし。奥さんも彼氏がいるし……。桜木も選択子なしだろ?俺も同じだからわかるよ。自由が欲しいもんな」


選択子なし……。

自由……。

俺は、一度だってそんな事を考えた事はなかった。



「あれ?その顔は、選択じゃなかった感じ?だとしたら、辛いよな。奥さんも40歳だろ?歳取ってからって妊娠しにくいって言うし……。積極的な治療が必要になってきたりするだろ?このまま、ズルズル子なし続けたら辛い気持ちだけ残って。正直、可哀想だよな」

「ふざけんな!」


俺は、蔵前を睨み付ける。



「商品なんか置いてもらわなくて構わない」

「桜木、図星だから怒ったのか?それとも、自分は可哀想じゃないって思った?」

「帰るわ」



俺は、蔵前にイライラしていた。

多分、図星だから怒ったのはある。

可哀想って言葉のニュアンスが嫌いだったのもある。



「結婚して、子供いないって他人から見たら可哀想でしかないんだよ。選択子なしならまだしも……。そうじゃなくて出来ない場合は、もっと悲惨で可哀想なだけだ」

「いい加減黙れよ!お前に俺の何がわかるんだよ」

「わからないよ。だけど、結婚って制度に振り回されてる人間の末路だって事はわかる。どうせ、子供出来ないならセカンドパートナー作っちゃえばいいのに……」

「そういうのいらないんだよ。俺は、妻を裏切りたくないし……」

「一年もレスのくせに?」



蔵前の言葉に胸の奥がざわめくのを感じる。



「桜木、嫁だけレスじゃないの?他に抱きたい女がいるから、嫁を抱いたら失礼だって思ってるとかさ」

「そんな事あるわけないだろ」

「まあ、俺はこれで食べてるようなもんだからな。明日のメンバーは、ゆう、さとみ、かなこ、りりこ、まゆみ、みなこだな」


りりこ……?!

俺は、蔵前の言葉に引っ掛かって立ち止まる。



「用がないなら帰れよ。それとも、行ってみる気になったか?」

「セカンドパートナーの集まりって何をするんだ?」



俺の言葉に蔵前は、ハハハと笑う。



「不純な気持ちで相手を探さないんだよな?」

「桜木。本当に馬鹿だねーー。男が不純な気持ち以外で相手を探さないわけないだろ?だって、金払ってんだぞ」

「金……。って事は、蔵前がやってるのか?」

「俺がやり出したのは、五年前から。今のセカンドパートナーの美奈子と知り合ってからだ。美奈子の友達は、上物が多くてな!俺が食ってから、こいつらに売り付けるわけよ」

「売り付ける?売春を斡旋してるって事か?」


蔵前は、楽しそうにニタニタ笑う。



「斡旋って、そんなんじゃねーーよ。ここに来るやつは、だいたい不倫したい人間なわけよ。だから、俺は会員の金持ちに売ってるんだよ。今回の参加者で、美奈子の友達はかなことまゆみとりりこ。中でも、りりこはかなりの上物だな。美奈子が送ってきた。隠し撮り写真見たらわかる……」

「その人を金持ちに売り付けるのか?」

「あぁ、だいたい三ヶ月間は俺が毎日抱いてからだけどな。俺ね、病気なんだよ!で、同じ人間と性行為は三ヶ月しか出来ない。だけど、美奈子は違ってなーー。三ヶ月に一回、三ヶ月間。別の女を抱くと美奈子が欲しくなるんだよ。美奈子も同じだから、Win-Winの関係ってわけ。で、今回も三ヶ月に一回がやってきたんだ」

「三ヶ月に一回集まってるって事か?」

「そうだよ。俺が飽きる頃にね。美奈子が飲み屋とか同級生とか連れてくるんだよ。まあ、俺はやれればいいだけだから誰でもいいし。容姿も拘らない。だけど、容姿がいい方が高く売れるんだよ」



蔵前な、紙とペンを取り出す。



「りりこには、500ぐらい払うやついそうだな。もっとかもな。ラッキー!子なしじゃん。歳取った子なし女ってめっちゃいいんだよなーー。ゆうも外見いい方だな。こっちは、300かなーー。子供が一人いるからマイナスだな」



りりこ……。

子なし……。

まさかな。


「あのさ、写真見せてもらったり出来るか?」


凛々子さんな訳がない。

絶対に……。



「見たら参加するつもりか?」

「ああ、考えてみるよ」

「そうか、そうか。大丈夫、安心しろ。桜木が選んだパートナーには手を出さないから」


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