エピソード2  名言

ある日、目に見えぬもの

霊感が強く怖がりな同僚が席に着くなり震えていた。


トイレのドアが、静かに開いた。

誰も居なかったのに


「ねぇねぇ聞いて」

「今、トイレのドアが…」


今にも泣き出しそうな同僚に、皆が「大丈夫?」と声をかけていたその時、


「生きてる人間の方が怖いけどね」


そう

斎藤さんの声はとても通る。

席にするとデスク2列は離れているのに。


同僚の恐怖が怒りに変わったのは間違えない。


またしても、上司は笑いを堪えている。


実は私も秘かに、斎藤さんの言動の虜になりつつある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る