私たちの世界が終わるまで

葱巻とろね

少女たちの会話

「空、青いねぇ」

「そうだね」

「草、緑だねぇ」

「そうだね」


 長い時間をかけながら人の手によってつくられた景色を前に、ポニーテールの少女は疑問を投げかける。


「綺麗なのに、この世界は壊れちゃうの?」

「壊れちゃうね」

「なんでぇ?」

「それが運命なんじゃない?」

「そうなんだぁ」


 二人は座り、ゆったりとした口調で話をする。いつもとは違う雰囲気でも、話の様子は変わらない。彼女らの瞳には、美しい自然に皮肉にも似合ってしまう隕石が映っている。


「この後、どうなっちゃうの?」

「この後は……終わりだね」

「終わり?」

「うん。ここは終わる」

「そうなんだぁ」


 遠くからは叫び声や笑い声、話し声が入り混じっていた。それでも二人は落ち着いて、終わりまでの時間を楽しむ。


「今まで楽しかったよ」

「私も。楽しかった」


 一人は筆を動かし、一人はその様子を眺めている。長い時間向き合ってきたであろう目の前のキャンバスには、晴天の草原に一つの隕石が落ちようとしていた。 

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私たちの世界が終わるまで 葱巻とろね @negi-negi

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