歯磨き粉の味、変わった?

小鳥遊

歯磨き粉の味、変わった?

目覚めたら、まずトイレに行って歯をみがき、顔を洗う、それが私の目覚めのパターンだ。

今朝も寝ぼけ眼のままトイレから洗面所に行き、私の黄色い歯ブラシを手に取った。

いつものようにミントの歯みがき粉を持ち、歯ブラシにつけ歯を磨いたとたん

「ん?いつもと味がちがう……」と思った。

いつもより甘いのだ。

私は母が使っている歯茎に良い歯みがき粉と自分のを間違えた?と歯みがき粉を見てもいつもと同じ歯みがき粉だった。

おかしいなぁと思いながら歯みがきを済ませ顔を洗った。

その日に、なんと私は宝くじで十万円当たった。

十万円、何に使おう!と喜んだ翌日、またいつものように歯みがきをすると、今度はすごく酸っぱかった。塩入り歯みがき粉のように。

何この歯みがき粉……。

「お母さん、私の歯みがき粉変えた?」と母に聞いたが母は「変えてないわよ」と言う。

自分の味覚が変なのかな?と思ったが、食事をしてもハンバーガーはハンバーガーの味だし、ポテトもシェイクもいつもの味だった。

そしてその日は小学校の時の同級生に七年ぶりにばったり会って「久しぶり〜懐かしいね」と道端で抱き合った。


翌日は歯みがき粉の味は、いつものミントの味だった。


しかし、その翌日。

今度は辛かったのだ。

まるでタバスコを舐めたような辛さで口の中がいっぱいになった。

「なにこれ……」慌てて口をゆすいだ。

その日は、なんと!片想いしていた人に告白された。夢のようだと小躍りしながら家に帰った。


ふと考えた。

歯みがき粉の味が変わった日に何かしら私に良い事が起きている?


すると、しばらく歯みがき粉の味は変わらず、彼とも仲良く平穏な日々が続いた。

普通のミントの味。

それが1ヶ月続いた。


そして、そろそろ歯みがき粉が無くなりかけて、私が歯みがき粉の味について忘れていた頃に、いきなり歯みがき粉の味がしょうゆ味になった。

これは!また何か良い事が起きる!

私は浮かれて大学へ向かった。

しかし、その日に良い事は何も起きず、逆に突然彼に振られてしまい、泣きながら家に帰った。


そして、翌日、歯みがき粉はチョコレート味になり、私は大学の階段から落ちて足を骨折してしまった。


悪い事になっている……私は怖くなり、自分の歯みがき粉を捨てて、新しい歯みがき粉を買ってきた。


さて、この歯みがき粉の味は大丈夫なのだろうか?

そう思いながら今日も歯をみがく。


おわり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

歯磨き粉の味、変わった? 小鳥遊 @ritsu25

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ