第34話  夫のルーツ

姑は夫が幼い頃、夜遅くまで家に帰らなかった。


お腹を空かせた子は、暗い家で1人母の帰りを待った。

怖くて怖くてこたつの中に潜り、そのまま寝てしまったそうだ。


誕生日もクリスマスも

イベントも何もない家庭。


母の気まぐれでお土産をくれる。


母の口からは、妄想で騒ぎたてる悪意に満ちた言葉


訳もわからず、ある日突然、知らない人達が暴れる母を押さえつけて車で連れて行く。


その日から母は帰って来ない。


それでも母を思う


子供には選択できない


子供は1人では生きていけないから


こんな家庭で

清く正しく美しく、大人になるわけがない。



だからといって


私が夫の生涯の責任を持つ必要はないと思うが。

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